男声合唱組曲『月光とピエロ』は、清水脩の代表作品であると同時に日本の男声合唱組曲の草分けの作品であり、今なおステージに取り上げられる名曲であるのは多くの合唱愛好家の知るところでしょう。混声合唱に編曲されたこともあり、日本中の合唱団で歌い続けてきたわけで、「秋のピエロ」なんかは単独で歌われ、愛唱歌として皆に愛されてきた名曲です。
昭和24年という戦後すぐの時期に作曲されたわけで、60年という歳月を超え、今もなお歌い継がれている事実が作品の値打ちだと言えるでしょう。
この作品の質を高めているのは、詩人堀口大學の上手さにも言及しないわけにはいきません。昭和54年、文化勲章を受章した昭和を代表する詩人の処女詩集『月光とピエロ』から5曲「月夜、秋のピエロ、ピエロ、ピエロの嘆き、月光とピエロとピエレットの唐草模様」を選んでいますが、ピエロの孤独感、泣き笑いの顔は歌い手の青年の気持ちを代弁しており、青春特有の屈折した心境を見事に表したものだと思っています。ユニゾンとハーモニーのバランスがよく、譜面も簡単で今の合唱技術なら簡単に歌える作品ですが、詩人の心境を声にのせて聴衆に伝えるのは今も昔も難しい領域にある楽曲だと思っています。
演奏は、清水脩指揮東京混声合唱団で、1970年8月29日に世田谷区民会館で収録されました。
他の「黙示」「阿波祈祷文」は、水谷昌平指揮東海メールクワイヤーの演奏で、1969年2月2日に春日井市民会館で収録されました。『アイヌのウポポ』は、北村協一指揮、関西学院大学グリークラブの演奏で、1969年2月28日に神戸国際会館大ホールで収録。「智恵子抄巻末のうた六首」は、水谷昌平指揮東海メールクワイヤーの演奏で、1967年9月4日に春日井市民会館で収録されたものです。