前書きに従えば、この本は日本の歴史教育のダメさを検証し、ではどうすればいいかを考えるために書かれたらしい(p6)。実際、文中では何度も日本史教科書の記述が引用され、検討・批判が加えられている。それらの主張にはそんなに違和感がないし、著者の組み立てる歴史像は、たしかに教科書で習ったものより格段に面白く、腑に落ちる。ちょっと歴史好きな高校生に読ませたら楽しめるだろうし、受験勉強にだって大いに役立つと思う。
私としては、「逆説」シリーズを第7巻まで読んで疲れが出ていたところだったので、重要ポイントの復習・確認と、これから読む(つもりの)戦国時代以降に関する予習として、うまい間奏曲になった。文字通り、夏休みのゆったりした気分を味わいつつ、程よくクーラーの効いた部屋で特別集中講義を受けたような感じ。
ただし、「逆説」シリーズをガンガン読み進めているようなパワーのある人からすると、聞いたような話ばかりで、ちょっと物足りないだろうとは思う。
一つだけ付け加えておくと、この文庫版は3年前に刊行された本書のオリジナル版に一部修正を加えているらしい。これは教科書の改訂状況などに対応した処置とのこと(「文庫版に際してのまえがき」参照)。古書などでの購入を考えている方はご注意ください。