手塚やアニメーション史に関心があれば読んで損がない「小説」である。
ここに描かれているの手塚治虫は神話の登場人物ではなく、情熱と野心を持ちそして,ダメな人でもあった手塚治虫である。
もっとも、本書は手塚治虫だけを描いたものではなく、テレビアニメ勃興前期にアニメーションに関わった人たち、「手塚治虫たち」を描いたものである。
手塚や東映動画勃興期のアニメーション史に関しては当事者の書いたものも含め様々な本が出ている。
しかし、それらから一定の像をまとめ上げるのは大変である。
この本の作者はそれらを変わってやってくれている(この本には発言元を記した218もの脚注が挿入されている)。
また、アニメ史になじみが薄い読者のためには丁寧な解説がされている。
そして、無味乾燥に出来事を羅列するのではなく、また登場人物(様々な関わった人)を点描として扱うのではなくそれぞれの感情を持った人として描き出している。
だから、この「小説」は、深い関心を持つ人にも、関心があるけれど予備知識を持たない人にも、面白く読めるだろう。
難があるとすれば、早く2を読みたいのであるが、本レビュー時点では刊行時期がわからない事である。
また、後書きではまだまだ続くことが示唆されているが、それが実現されるのかどうか未定なことである。
是非ともそれが実現されることを願う。