いまや日本史の教科書にすら載る角栄の「列島改造」論。
実際に手に取って読んでみて思ったことは、これは政治的主張云々というよりも、国民に明るい未来を示しているという点である。
端的に述べるならば、読んでいて元気が出てくるのである。
内容については、いまさら言う必要もないだろう。
彼の生涯のベースである、経済発展の裏日本への還流を軸とした、発展の継続と福祉の開発計画である。
「問題に対しては常に具体策を示す」と言われた田中の書だけあり、具体策の山積みである。
だがこれは結局実行には移されなかった。オイルショックと腹心の死により、棚上げにされてしまったからだ。
そして彼の政策は、利権として批判されることも多い。
だが、30年以上の時間の差を考えてみると、あのときだからこそ田中はこういった開発計画を提示したが、現在においてもなお地方利権構造を彼が支持するのかは議論の余地があるように本書を読んでいて思った。
彼の議論はあくまでも高度経済成長によって「効率性」は獲得されたが「公平性」については途上にあり、そしてこのままでは成長自体も息詰まりかねないという状況だったからだ。
良くも悪くも戦後のターニングポイントに位置する彼の書は読んでみて損はないだろう。