10年くらい前から仏教、神道など宗教的なるものに関心をもつようになった。つんどく状態だったこの本を最近読んだ。知的刺激に満ちている。中身は濃く、口語で読みやすいがレベルは高い。しかし、丁寧な注釈が豊富にあり、専門知識がなくても理解できる。とくに第一章の「日本人の思想の土台」は抜群に面白かった。自分なりに感じていた獏としたものに具体的な裏付けと明解な仮説があったからだ。「日本人は体系的で、普遍的な思想はわからなかった。あるのはあいまいな思想のマトリックス」〔中沢〕。「日本で思想的なものを見いだそうとすると、その多くは宗教や文学の世界にある」(梅原)。明治以降、日本の神道は国家神道化されたが、律令制時代、仏教伝来時に一度国家神道化している」(梅原)。「日本の神道は二重構造で、伊勢神宮的なものと村の鎮守的なものがあったが、仏教が神仏習合の方向づけをした」(梅原)。西洋的思想ではアミニズムは原始的とされているが、私はかねてから納得できないでいた。しかし、「アイヌの神を表す言葉は古代日本語の一部であり、アイヌ、沖繩、日本をつなぐものが<日本的なるもの>で、それはネイティブ・アメリカン、アボリジニ、ケルトにも通じる」という中沢氏の指摘は我が意を得たりと感じた。ハンチントンの「文明の衝突」には違和感を感じていたが、4章の<地下水脈からの日本宗教>では、一神教の起源と多神教の近代に触れている。多神教により根源的な<グレート・スピリット」の存在という考え方がある、という点にとても興味を持った。今後の問題としては、「人間中心主義の限界と科学技術と、グレートスピリッツは矛盾しない、」とい発言は非常に示唆的だ。さて、希望なき社会・日本はこれからどう思想するのか。