歴史を自分の言葉で書きたいのか、編集者としての立場で他の研究者の考えをまとめた本なのか、全体的に方針がはっきりしない描き方で始まる。朝鮮半島の倭人の存在は疑うところはないが、他研究者の加羅系(渡来人)という表現をいきなり持ち出していて、それに彼が賛同しているのだと思われるが(章タイトルにもあるので)、なぜ著者がその言葉を良しとしたのかがつかめない。また真相という表現を使った断定的な年表の描き方や、文章中でも断定部についてなぜそう考えるのかを述べていない点で、学者のアプローチと趣が違う描き方をところどころに感じる。もっと朝鮮の資料がでてきてもよかった。
現場にも足を運んでいる方とのことだったので、彼独自の発見や考えを期待したが、印象としては既研究のまとめ本という感じでした。