1877年日本を訪れたアメリカ人モースが日本の家屋を世界へ紹介した本。
建築関係の本だと思って読んだら民俗学になっていました。
木と紙の家、なんて欧米では嘲笑される日本の家屋ですが、
モースは自国の家屋と比較しながらも、偏見を極力排除して
むしろ「他国民を研究するに当たり無色のレンズを通して観察しなければならない、
とはいっても誤謬がさけられないのなら、せめて眼鏡の色はバラ色でありたい」と
好意的かつ肯定的に書かれていています。
モースはまさに好奇心旺盛という感じで、家の屋根から門から玄関、畳、床の間等
作り方から利用法まで自分の手によるスケッチを交えながら細かく紹介しています。
解説にムツゴロウこと畑氏の本に収録されている文の抜粋が紹介されていて
氏が動物学科に進学した時、一人の女性がいた。
モースの肖像画が正面を飾る講義室で主任教授が
「このたび初めて女性を迎える事が出来ました。大歓迎です。
この教室は遠く明治の昔から女性を待っていました。
私どもは一つだけ誇るに足るものをもっています。
それは本学で唯一の婦人専用便所を持っている事です。
動物学科を創設した時モース先生が是非婦人便所をつくるようにと力説されたのです。
明治十年から待っていた施設を心おきなく使って下さい」
男女共学もままならない時代から待っててくれた施設を使う事の出来るその女性を
畑氏でなくてもうらやましく思うに違いない。