何万人死のうがアフリカならベタ記事止まり。日本と言わずとも、欧米でこんなことがあればメディアもネットもその話一色だろうに。アフリカは日本人から物心ともに遠い場所なんだと感じる。著者は南アに4年間駐在し、サハラ以南の48ヶ国を担当した新聞記者。日本人の「助けるべき、後れたアフリカ人たち」「飢餓」「部族対立」という思い込みはいまだ強固だ。現地を知る駐在記者も記事を紙面に載せるために、その思い込みに染まった記事を書かなければならない。その記事でバイアスが再生産されることを著者は指摘している。著者が本書で指摘して気づいたが、「部族」って言葉はアフリカかアメリカ先住民にしか使わない、「低開発」という差別的なニュアンスを感じる言葉だ。他地域の報道と異なり、アフリカ報道は「欧米が騒ぎ出したから日本でも…」というパターンが多いという。「アメリカが…」という前振りを入れれば、ボツになりづらいというのもなんだかなあ。
アフリカ連合と日本の外交関係の話も多い。援助疲れが言われていた90年代までとは打って変わり、支配者にカネを渡して、「国内政治に注文もつけませんし、欲しいものは何でも差し上げます。その代わり、国際政治の場で支持してね、国内の資源や経済も頂くよ」という中国。日本がアフリカ首脳を呼ぶ会議でも、もう援助を約束しないと相手にされない援助合戦の時代になりつつある。
密入国あり、リアル北斗の拳状態のソマリア、コンゴ潜入ありの著者の前作にして力作ルポ、「
ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」とは打って変わって、本書は「屋根の下」の話や著者の思考が多くておとなしめ。でも、現場に行って考えた本書の内容は、今のアフリカ報道を読む上で示唆に富んでいる。