「家庭の教育力が落ちた」
「最近の家ではまともなしつけが出来ていない」
「昔の家庭ではきちんと子どもをしつけていた」
新聞やテレビを見ても、書店で書架を眺めても最近の家庭の教育を弾劾する論調が目につく。
そんなに最近の家庭は、親はダメになったのか?
昔はそんなに良かったのか?
この書ではそんな通俗的な見解に正面から疑問をぶつける。
社会学の手法を用い、当時の文献や文章を読み込み、統計を分析する。
科学の手法から浮かび上がった家庭の教育力の変遷は衝撃的である。
通俗的な見解とはまったく逆、教育における家庭の関与は年々増大している。
家庭の教育力は低下するどころか、増強していると言ってもよい。
そして今日の教育課題・教育問題はかえって家庭が多くの負担を強いられていることから発生しているとも言えるということである。
現代の家庭のモデルは都市の中産階級のモデルである。
父親は働く。母親は家庭を守る。
そのモデルは教育にも大きな影を落とす。
著者は戦前・高度成長期・1970年代に大きな変動を見る。
それは農村の疲弊と都市の中産階級の発達である。
学校や地域に全てを任せず、子どもの教育を親が設計する家庭。
そんな中間層の「教育する家族」が次第に広がることにより、しつけや教育への認識が変化してきたと明快に分析する。
この書は1999年に出版されている。
しかし、今でも家庭の教育力についての報道は十年一日の感がある。
思いこみと迎合のみで報道をたれ流し、科学的な視点を欠くマスコミの認識と能力の低さが実感できる。