ほんの数十年前まで、日本人の平均寿命はせいぜい60歳だった。
それが今では80歳、90歳……。
60歳というと、働きづめに働いて、そうしてすぐ先に死が待っている――という世界だ。
だから生きることと死ぬことを直結して考えることができた。
しかし80年、90年になると、生きて働いてひと息ついても、
その先に20年、30年の「老い」と「病」の時間が横たわっている。
山折氏は、「生と死の間に老と病がはいりこみ、我が物顔に振る舞っている。
これでは、これまでの死生観では折り合いがつかないことも出てくる」
と書く。たしかにその通りだろう。
対談は、島田氏が山折氏に尋ねかける……というスタイルで進む。
どちらかというと「山折死生観・浄土感」が中心で、そこに島田氏の考えが入る。
ただ、話がやや散漫で、たとえば「どうやって死を迎えるべきか」といった、
ハウツーに近いことは書かれてない。宗教学者同士の対談だから当然と言えば当然だが、
ある意味、雲をつかむようなところも多い。
流し読むだけではよくわからないかもしれない。
「死ぬ覚悟」をどう考えるか……それを考えるには1回は熟読する必要があるかもしれない。