前著『英語達人列伝』、『英語達人塾』と軌を一にした本である。
すなわち、主として明治時代の「英語の使い手、達人」と言われる人たち
の英語学習法を紹介し、そこからタイトルにある「日本人に一番合った
英語学習法」は何であるのかを探っている。その根幹には、「英語の
学習法は英米の学者が主張する学習法をそのまま取り入れるのではなく、
日本人に合った学習法は日本人が考え出すものでなくてはならない」
という筆者の信念が底通している。
構成としては、日本と英語の関係をまず歴史的に論じ、次に、伊藤博文、
森有礼、神田乃武、津田梅子、南方熊楠といった英語の使い手たちの
英語学習法を探っていく。その中でも、日本語もしっかりと使いこなし
た上での高い英語力を持つ南方熊楠氏の英語は日本人が目指すところだ
と主張する。
こういった学習法を振り返った後、これら英語の使い手たちが好んで
使っていた、素読、暗唱、文法、多読といった学習法が日本人で高い英語力を
身につけるためには不可欠だと主張する。その背後には、「これら訓練を
せずに身につくほど英語は容易いものではない」という筆者の揺るがぬ
思いと、近年のコミュニケーション重視に安易に流れている英語教育への
不信感がある。
著者らしい、「質実剛健な」学習法を提示した一冊である。