著者の本は生前はかなり読んだつもりだったが、この本に関しては読んだ記憶がなかった。実はこの本は昭和50年(1975年)から51年にかけて「週刊朝日」に連載されたものが、没後の平成5年(1993年)に単行本化され、それにアメリカに関する雑誌掲載論文3編を加えたものである。生前に単行本化されなかった理由は不明だが、34年経った今でも判った気になっているアメリカという国の本質に迫っていて、十分読むに値する本である。
特に、アメリカとは空間的規定であって歴史的伝承的規定ではないということ、一つの理念(アイデア)をどのようにして構成(コンストラクション)に移すかという問題意識、そしてレイシズムという言葉。これだけの内容が34年前には週刊誌に載っていたのである。我々の知性は進歩しているんだろうか。