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日本人とは何か (講談社学術文庫 (51))
 
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日本人とは何か (講談社学術文庫 (51)) [文庫]

加藤 周一
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

日本人とは何か。われわれは一体何を望み、何でありたいのか。長い西欧体験にみがきぬかれた知性が、鋭い洞察力を駆使して日本人のありように迫り、将来のあるべき方向を模索した日本人論八編を収録。十数年前に書かれたこれら諸論文は、その歳月を忘れさせる先見の明に貫ぬかれていて、今日の私たちが直面している諸問題をあざやかに浮彫りにしており、日本人と日本文化について思索するすべての人に知的興奮を与えずにはおかない。

著者紹介

1919年東京生まれ。1943年東京大学医学部卒業。1946年文壇に登場。文芸評論家。エール大学客員教授。著書に「1946・文学的考察」(共著)「雑種文化」「芸術論集」「羊の歌」「続羊の歌」「言葉と戦車」「日本文学史序説」(上)(下)

【画家紹介】



登録情報

  • 文庫: 214ページ
  • 出版社: 講談社 (1976/7/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061580515
  • ISBN-13: 978-4061580510
  • 発売日: 1976/7/8
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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鋭い洞察力 2008/3/1
By RYSK
前半は文学や芸術といった文化的、精神的な側面から西洋と日本との違いを論じています。個人的に興味深かったのは後半の、天皇制、昭和の戦争時の日本人についての諸論文で、戦争中、知識人にとって「思想」の生み出す価値は、実生活上の便宜、習慣、感情、「小集団を支配する家族的意識」を超越しなかった。倫理的価値、美的価値、科学的真理さえも生活世界の論理にたやすく屈服した。そしてそれは日本が超越的価値概念・真理概念を生んでいなかったということであり、しょせんは外来思想は頭だけで理解されていたものだったからである。そしてそれこそが知識人の戦争協力という事実の内側の構造だった、と論じています。加藤周一氏の実体験と綿密な論理に支えられた文章は説得力があります。
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 加藤周一氏は、敗戦後日本人の心はどうなっているのか、疑問に思ったという。
 なぜなら、戦争中「鬼畜米英」と言っていたにもかかわらず、敗戦後は「拝米」に激変し、その間、「大した摩擦もなく」変化したことに驚いたからである、という。
その問いにみずから答えたのが、本書である。(そして、さらにそれを突き詰めて考えたのが、『日本文学史序説』『わたしにとっての20世紀』であると考えられる)
 さて、この本は、いくつかの本や雑誌に書いたものをまとめたものであるから、さまざまな論点が出てくる。
 第一部は主に、日本を西欧その他と比較検討することで、明らかにしようとしているように思われる。第二部は、「天皇制」を問題にする。加藤氏は天皇制を「世界にも類例のない大がかりで、陰うつな、社会的虚構であった」と喝破している(p.125)。一般の日本人は、そこで、「信じるふりをする」態度をすることになるが、それが日本人の一般的な宗教的態度であるという。これは、わたしの感じでは、宗教に関することだけではないと考える。
 第三部は「知識人」と「知新人と戦争」の問題が主題だ。日本の思想が外来のものであり、生活と庶民とは切り離されているので、戦争などの社会的な課題に無力であることが多い。それは、生活や現実に超越した価値を生み出さないし、そうしたものとして実感のない思想になってしまっているということになる。矢内原忠雄や南原茂のキリスト教、宮本夫妻の共産主義、大内兵衛らのマルクス主義くらいが、例外であるという。
 なぜ超越的な価値を生み出さないか、が問題だ。加藤氏はその答えを言わない。しかし、少なくとも二つの点が示唆されていると思う。ひとつは、「個人が属する小集団を支配する『家族的意識』が、『思想』に優先する」(p.193)傾向があるので、むしろ、意識的に、この家族的意識を乗り越えようとする点である。もうひとつは「ブリッジ」である。イギリス法を学んだ知識人が戦争に反対できなかったが、ブリッジを遊んだ、イギリスの生活になじんだ人が戦争に反対できた。つまり、日常的な意識と遊びが大事だ、ということである。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By dvrm トップ100レビュアー
 加藤周一氏による日本論・日本人論を収録した著作。全体は三部構成になっていて、第一部は日本を他の国・地域と比較してその特質を論じた文章を五つ、第二部は「天皇制について」という文章一篇、第三部は「知識人について」「戦争と知識人」という二篇で構成している。執筆されたのはいずれも1950年代の末、久野収氏らの「戦後日本の思想」が刊行された時期と重なっている。

 やはり読み始めると第一部より第二部、第二部より第三部というように、後半に行くほど内容が面白くなっていく。記述の特徴としては、「日本文学史序説」上巻で感じた、論じている日本の話題とは一線を画した距離感のとり方がやはり目に付くが、それが著者の意図的なバランスのとり方なのは第三部を読むとよくわかった。戦前の言説空間があまりに主観性に偏していたことへの反省を基にした戦略的なポジションの取り方なのだろう。この構えは現代にも受け継がれ、時に自分を棚に上げて他を云々する振る舞いにも使われているのだと思う。

 内容については第二部・第三部について特に思うことがある。天皇制についてはまるで舞台で演じるかのように「信じているふり」をしていたのだというが、基本的には今の社会でも「信じているふりをする」ことで成り立つことばかりなのは社会人であればすぐにわかることで、そんな風に処世していく危うさ自体は今でもまったく変わりがないのが頭に浮かんだ。(若い頃には周りに合わせて思想を語り、年を取れば周りに合わせて週間雑誌しか読まなくなるなんていう指摘は、性別・年代・階層別にセグメンテーションされて消費を提案されちゃってる自分たちの環境とつながるところがある。)そのつながりで見ていくと、戦争の流れに抗することの出来た人たちは、「信じるふり」をして処世することを拒み、多数に伍することを抗することのできる価値を実際に生きた人たちではないか、とも思った。そんな風に生きれば孤立することだってあるが、そこを一人、日々の暮らしの飯の食い方から寝起きの仕方から始まり、一方で他人との関わり方一般から考えること・言うこと一般に貫く筋を手放さない人物が「…のふり」から無関係でいられるということではないか。

 また、最後の議論で日本浪漫派と京都学派についての分析もあったが、現在日本浪漫派と京都学派の技法を最も継承しているのは広告代理店とその影響で動くマスコミ・及びそこにのるコンテンツではないかと思い浮かんだ。戦争ではなく消費へと水路付けているのだが、その感触は良く似ている。

 手軽に読めて、色々考えさせてくれた著作だった。
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