「マネー」---。
その希少性の故に人々の心を貪欲に染め上げ、追い求めさせ、自由に働いていると思っている人も実は隷属させられ、
1%の富裕者がその国の富の92%を所有するという冷酷な事態を生み、働きたいものが働けず、
働けても生活できないほどのわずかな賃金しか得られず、弱者に生きる場所をなくさせるもの・・・。
これほど、今の我々にとって切実な問題があろうか。
「金融のしくみは全部ロスチャイルドがつくった」に続く、著者のこの本は、
第1章から第4章は前著と重複するところがあるが、現在の「マネー」というものの本質とその仕組みをより詳細に説明し、併せて引用された文献や図表の出典・解説も明記されている。
そして、終章の第5章「もうひとつの『お金』は可能だ!」では、
1)エンデが思考の拠り所としたシルビオ・ゲゼルの「自由貨幣論」、
2)オーストリア・チロル地方のヴェルグルの「労働証明書」、
3)米国・ニューハンプシャーで実験された地域貨幣「コンスタンツ」
等を紹介しながら、強力な分権化、もっといえば”お金の民主化”の方途を示している点が、
前著と較べて素晴らしいのだ。
大マスコミの「報道」や学校の「教育」はその”利害”のために、知らせられない、教えられないことの方が多いことは、心ある人ならば判っているだろう。
そのためには、著者のいうように、社会というこのシステムを変えるポイント、梃子の原理の力点である、
この「マネー」というポイントを押せば、システム全体を根源的に変えることができる。
これを読み、地域通貨、お金の民主化はできるのではないかと希望を持った。
後は著者がいうとおり、お金に対する無知をなくすために、この本に書かれた真実を、
ひとりが誰か一人に口コミやネットで伝えていけばいい。
それは幾何級的に広がるだろう。ささやかながらその一人になりたいと思う。