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17 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
テーマは「生きる」,
By 三味線屋 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本三文オペラ (新潮文庫) (文庫)
舞台は戦後。主人公のフクスケは飢えて餓死寸前のところを、 中年の女に飯をおごられ、「手伝ってほしい事がある」 という女についていく。家につくと、もつ焼きが振舞われた。 「雑魚(ざこ)つれてきたでえ」という女の言葉と共に。 特筆すべきは、活気に満ちた躍動感のある筆跡。 泥と汗まみれの身体、モツ焼きの墨で焦げた匂い・・・ 嗅覚にまで濃厚に訴えかけてくるストーリーと文章から、 「生きる」という根本的なテーマが力強く伝わってきます。 登場する食べ物はとても美味しそうですし、 ひと働きした後の彼らの大衆が臭ってくるようです。 現代生活に疲れた方は、戦後のとある場所で真剣に 行なわれた祭りのような生活を堪能してみてください。 人間に力を与えるにはうってつけの寓話ですから。
9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
焼け跡という原風景,
By cj3029412 (栃木県宇都宮市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本三文オペラ (新潮文庫) (文庫)
大阪人が戦後の原風景を描いた名作2編のうちの1編です。開高さんの「日本三文オペラ」(1959年)と、小松左京さんの「日本アパッチ族」(1964年)。ともに喰うことが主題です。 設定された舞台は違いますが、日本の1930年代が世に問うた2つの才能は、同じ大阪城近辺の、きわめて近い焼け跡の風景を夢想しているように僕には読める。「夏の闇」よりも、ベトナムものよりも。開高さんのひりひりと焼けつくような、高度経済成長の過程で変質し、失われたものたちへの愛憎と追想が、食べることを比喩として、大人の童話として見事に結実している。たまらなく好きです。 たとえていうなら、桂文楽師匠の「明烏」で甘納豆が売りきれたように、開高さんの「日本三文オペラ」では、ホルモンをどうにもたまらずに食べに行きたくなる、そういう1冊です。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
おおさかソウルミュージックオペラ,
By
レビュー対象商品: 日本三文オペラ (新潮文庫) (文庫)
こんな雑多な情景を描くに、こんなにぴったりの文学的表現が存在するのだ、と文章に感激した。もちろん芥川賞作家の風格だろうが、作者は、大阪市立大学を卒業後サントリーでコピーライターをしておられた時期があったそうだ。さて、時代は戦後のどさくさ、舞台は、いまの大阪環状線森之宮、京橋、鶴橋から天王寺あたりだろうか。ぼろぼろの日本にびっしりと虫が張り付いて生きている。でも、その虫にも五分の魂があり、誇り高く生きている。しかも、彼ら一流の理論体系に整えられた、綿密な仕事振りが痛快に描かれている。泥にまみれた純粋な魂が、しっかり前を向いている。実は戦後を復興させたの、この底パワーではないか。 おっちゃんたちの汗と体液が匂ってきそうな、すごい小説。1960年以降生まれた作家には絶対にかけない。
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