高校バスケットボール界の名門・能代工業高校。その強さや実績は、他の
高校スポーツ界の名門校と比較しても、一段と輝くものである。この能代工業
バスケットボールの礎を築いたのが、紛れもなくこの筆者である。
本書は、筆者がバスケット指導を通して得た経験をエッセイの形で綴っている。
その内容は、筆者の初任の年から、初めての全国初優勝、後継の加藤三彦氏
へのバトンタッチ、教員生活の最後を能代工業の校長として勤め上げるまでの
長きにわたって、話題も多岐に及んで綴られている。
本書は高校バスケット界有数の名将のエッセイであり、それだけでも読むのが
楽しい。なぜなら、これだけの指導者であれば、まさにタイトルにある、
深い確固とした「勝利哲学」をお持ちのはずであるからだ。
しかしながら、もちろんその深い内容を文章化するのは難しいことだとは思うが、
残念ながら、内容にあまり深みを感じられず、どちらかというと表面的な記述に
留まっている印象を拭えなかった。これだけの名将であればこその内容を期待して
読んでいただけに、残念であった。
また、個人的な意見ではあるが、バスケット指導における失敗談をもっと書いて
欲しかった。本書で示されている失敗談は、結局はその後の大きな成功につながる
ものばかりで、華麗な経歴ばかりが目に付いた。
このような一流の指導者であっても、失敗があったことを書いてもらうと、凡人
の私にはもっと親近感を持って読めたように感じる。