・・・一言で言ってしまえば「数年前のPS2」クラスのゲームです
映像はきれいです。が、そのきれいさが仇になって造詣の薄さが際立っています。ダンジョン・城・建物・フィールド・モンスター・自キャラのどれをとっても昨今のRPGの中で群を抜く酷さです。この造り込みの甘さが世界観を破たんさせ、物語への移入度を格段に下げています(特に、FF13プレイ後だったのでその落差に愕然としました)。行動原理の理不尽さを納得させるだけの世界観を構築しているならまだしも、全体的な安っぽさゆえ「あー、まぁこんなものだろうな」とプレーヤー側が諦めモードに入って整合性の脳内補完をし始めるしかなくなります
ストーリーは一本道、登場人物は数える程度しかいない上に町や村のにぎわいや他との交流もありません。RPGでありながら終始地下にもぐっているような圧倒的な閉塞感があります。音声はいまどきのPS3には珍しい2.0ch、コントローラーはバッテリーに優しい「無振動」仕様(笑)、洋ゲーを意識した(と思しき)英語台詞、それとイベントは動きのない絵です。ヌルっと絵が変わってサクッと事件が起きます。結構ドラマチックな事が起こったりするんですが、いかんせん見せ方が猛烈に平坦なので「え???はい???」という”演出面での衝撃”を受けます(むしろ”笑撃”と言えるレベルですが)。という仕様なのでお察しの通り未だかつてないレベルで置いてきぼりを喰います。イベントパートはたとえるなら「喋る紙芝居」です
バトルに関しては多少面白みがありますが、慣れてくると非常に時間を喰らう作業になります。敵を攻撃する際割り振られた「部位」を順序良く攻撃しないと窮地に立たされます。逆に、攻撃順序が判明すればコンボ成立となり大ダメージが与えられますが、厄介な事に直ぐ死んでくれません。数ターン放置するとHP満タンで復活してきたりします
魔法攻撃もできますが、物理攻撃をした部位のみに作用する限定的なものになります。ターンバトルですが行動ポイントの制限(終了後に微々たる回復しかしない)が付けられていますので連戦になると泣きたくなります
戦闘するキャラは入れ替わり制ですが「一人目が受けた状態異常を二人目もきっちり受け次ぐ」という腹立たしさ全開システムを搭載していますので、一人目が眠ったら二人目も眠ったまま、そのまま安らかにゲームオーバー、という事態にも遭遇します(私が遭遇したのはもっと酷く、雑魚敵で最初がマヒ攻撃、その後気絶攻撃のパターンで2000近くあったHPを全部削られゲームオーバーになった事があります。とても切なかった・・・ でももっと切ないのは、状態異常になってもHPの横に印が付くだけでキャラは戦う姿勢のまま、という残念な仕様でしょう。通常と同じく剣を構えている状態で眠ったり気絶したりしています。もうちょっと危機感のあるグラフィックを宛てられなかったんでしょうかね・・・)
エンカウントしてくる敵はフィールド上をうろちょろしていますが、見つかると音もなく延々と追いかけてきます。倒しても自然と湧いてくるのでフィールドをゆっくり探索する事も出来ません。一応モンスターが侵入できないサークルはフィールドにあるのですが、入ったら諦める、といった事も無く外で延々待ちかまえており、結局こちらが折れて戦う羽目になります
極めつけは、自分のレベルが上がり戦闘に慣れて下位レベルになったモンスターとエンカウントすると”経験値0”という、本当に時間の無駄な戦闘がちょくちょく発生してしまう事です。お金で何かを買う、という事も出来なければ武器のパワーアップもありません、なのでこれらの戦闘によってたまっていくのは「ストレス」だけになります。一応エンカウント率を下げる魔法もあるんですが・・・「それが何か?」と言わんばかりに追いかけてきます(笑)
また、フィールドによっては「何の音も振動もなくみるみるHPが減っていく」場所もあり、初見は何の前触れもなくゲームオーバーになったりしました。当然のようにマップもちんまりとして暗部が多く非常に見辛いです。その上、現在マップのエリア名は英語表記+物凄く小さな文字で書いてあるので”アルファベットの形を予測する感じ”でアタリをつけなければなりません。トランジットエリアはありますがぼんやりとした入口の画像が並んでいるだけでエリア名は一切書かれていません
消費アイテムは最大で10コ、ものによっては1コしか持てません(そのくせ宝箱を開ける鍵は制限がないので「お前はどこぞの映画のキーメーカーかよ!」という状態になってますが)。「不親切」という点では実にハイレベルな設計思想が組まれていますね。ここまで来ると「キャラクターに魅力がない」などという、普通では結構な問題が極めて瑣末に思えてくるから不思議です。このゲームを通じで自分が大らかになったな(言いかえれば、すぐに諦めがつくようになった)、と感じたり・・・ きっとクリアしたら、もっと他人に優しくできるような気すらしてきます
最早拷問のようなゲームですが、昨今の進化したRPGに慣れた目からすると逆に新鮮に見える要素もあります(単なる錯覚かもしれませんが・・・)。何て言うんでしょうか、これはまさに「最新のレトロゲーム」と形容できるのかも知れません。他人に勧め辛いですがツッコミどころは満載なのでネタとしては面白いですよ・・・ ちょっとだけ泣いていいですかね・・・
追記;このゲームをクリア後複数のRPGをプレイして改めて感じた事があります。非常に個人的な見解ですが、楽しめたRPGは、最も比重の掛かるバトルにおいて ○適度に苦戦する(アイテムや補助をやりくりして状況に応じた戦術を立てられる) ○共に局面を乗り越える(助けてくれるor護ってあげたくなる)仲間が同じフィールドにいる ○どんな戦闘でも見合った経験値とお金やアイテムが手に入る ○戦闘を繰り返してでも欲しいと思える武器や防具がある といった項目が最低でも1つはあったと思います。翻ってこのゲームにはそれらが全く見出せなかった・・・ 単なる急激なパラUPでは「キャラクターを育てている」という実感がわきませんし愛着も生まれません。最初から最後まで見た目も全く変わらないし・・・
クリアし実績もすべて解除し、なぜか得も言われぬ敗北感に襲われると共に残ったのは「虚しさ」だけという、ある意味では近来稀にみる画期的なゲームだった、と思いました。例えは悪いですが「一歩間違えば気絶しそうな物凄い珍味を食べる事で味覚領域が格段に広がった」ような感覚を得られました・・・自分にとっては何らかのプラスにはなった、と考えたいんです、ええ・・・