植木等の「日本一の〜」シリーズ中、テンポの良さはトップクラスです。
造船会社のトップセールスマン男子等(オノコ・ヒトシ)がバイヤーのジャンボ氏と商談中、無帽でウロウロしている親会社の会長・大神田剛之助をソレと知らず注意するが、それを見込まれて子会社の世界ストッキングという女性の肌着会社へ鶴の一声で転勤させられてしまう。
世界ストッキングは、大神田会長の孫娘(浅丘ルリ子)が社長秘書をしている会社だったのだ。
腐り切っていた等だったが、母親の遺影(浅丘ルリ子)を見て心機一転、安定ボケした世界ストッキング・銀座直売店の販売成績を、ルール無視、快刀乱麻の活躍でアップし、宣伝部に配転されると、自らプロデュースしたTVのバラエティ「パララン・ショー」にも出演、宣伝部長に公言した『最小の費用で最大の効果』を見事に果たす。
順風満帆に見えた等の出世街道だったが、ストッキングの製造に関わるナイロンの特許契約更新という難題が持ち上がる。
等は初代外国部長に抜擢され、来日したデュパン社重役と折衝。起死回生の逆転満塁ホームランを放って、見事会社の危機を救うものの、安定ボケと等に煮え湯を飲まされてきた重役連が社長に詰め寄り、等を解雇してしまう。
これらの動きを見通していた大神田会長は社長を叱責し、等のボロアパートを訪ねて世界ストッキングに戻るよう懇願すると共に、孫娘のみち子と結婚して、将来は世界ストッキングを引き継いで欲しいと頼み、ハッピーエンド。
シリーズ中、明るく爽快感が残る終わり方をする点で「ゴマスリ男」と双璧です。「色男」は裏切られちゃうし、「ホラ吹き男」は出世の過程に暗さがあって「日本一シリーズ」のスタンダードとは言えません。
この作品のキーワードは『安定ボケ』。
系列とは言え、造船会社から配転された社員など入り込む余地の無い組織を、いかにブレイクスルーして旧弊打開するか、『日本一シリーズ』に共通する相手を圧倒して有利に運ぶ【ハッタリ】と、それを裏打ちする【行動力】が十二分に生かされたプロットと、メリハリの効いたカット割りが心地よい一編です。
本作品には日活組の浅丘ルリ子(秘書課長)、岡田真澄(デュパン社東京支社長)、藤村有弘(世界ストッキング販売部長)と三人が出演しており、東宝カラーに馴染んだ自然な演技で好感が持てます。