発展途上にある「日本ワイン」に初めての、そして志ある一線を引いたのが本書。
これまで漠然と「国産ワイン」と総称されてきた「果実酒」の抱える最大の問題は、その中に相当量、日本で育てられたぶどうを使わず、安価な海外産のバルクワインを輸入して日本で瓶詰めしたもの、海外産濃縮還元果汁を発酵させ、日本で瓶詰めしたものを「国産ワイン」として(現行の酒税法ではその表記が認められる)流通させてきたところにある。多くの人が「国産ワイン」といえば日本産のぶどうを、日本で醸造したワインと認識しているはずだが、それとはかけ離れた実態を、国産ワイン業界は長い間容認してきた。そんな状況に対して、日本の大地から生い育ったぶどうだけでワインを造る造り手の紹介に徹し、土地の個性、造り手の人となりがにじみ出たワインだけを「日本ワイン」とはっきり宣言した本書が投じる一石の意義は大きい。冒頭の「日本ワインの実力を示す100本」紹介から、北海道〜宮崎にいたる都道府県別の造り手とその製品の詳細で緻密な評価にいたる、シッポまであんこの詰まった鯛焼きのごとき大変な労作。