著者の大崎裕史氏は株式会社ラーメンデータバンクの取締役会長( http://www.ramendatabank.co.jp/gaiyou.html )であり、twitter(@oosaki1959)や他blog などでも情報を発信しておりラーメン食べ歩き界では有名人だ。そんな大崎氏が「ここ10年でラーメン業界があまりにも様変わりしてしまったため、これを記録しておかねばならない、という思いで本書を執筆した。」と書いてあります。
本の内容はざっと、第一章:国民食となるまで、第二章:この10年でラーメン業界の何が変わったのか、第三章:人気店の系譜を分析する、第四章:つけ麺がこんなに流行った理由 第五章:さらに進化を遂げるラーメンの姿、 第六章:全国のご当地にある「究極の一杯」とは、となっています。
全体的な感想としては、この本は、大崎氏のようなラーメン業界(ラーメン屋とその周辺ビジネス)を隅々まで知っている人でないと書けない内容で、今まで有りそうで無かったタイプの本だと思います。この本の特徴としてあげられるのは、
1) ラーメン屋の紹介だけではなく、スープの決定要素や麺の加水率など構成具材について基本的なことが分かりやすく書かれている点。
美味しかった/まずかった以外の味のジャッジをして客観的に他人に伝えるために重要な知識です。
2) この15年の人気店の系譜とその人気の分析や限定メニューと製麺所の関係など味のみならずビジネスの観点からラーメンを分析している箇所がある点。
3) それぞれの地方ラーメンの特徴をラーメン店を紹介しながら端的にまとめている点。
4) そして、1) - 3) の内容を一人で執筆している点。
この本の趣旨は、ラーメン屋ガイドではありませんからラーメン店の限定メニュー情報や新店情報などは載ってません。しかし、それぞれのトピックをラーメン屋を引用するか形で書かれ掲載されているラーメン屋の数も多数にのぼるため、ラーメン入門本としては非常に良くできていると思います。従って、ラーメン食べ歩き初心者がこの本を導入編として読むとラーメン食べ歩きの道を外すことはないと思います。あと余談ですが、もしこの本が英訳され海外で出版されたら海外のラーメンマニアは泣いて喜ぶと思います。
特に、この本がお勧めの方としては以下の方々が当てはまると思います。
1) ラーメン食べ歩き歴が少なく次々発行されるラーメン雑誌を購入しすぎて「無駄な出費をしているな〜」と感じている人。
2) 地方へのラーメン食べ歩き遠征を考えている東京在住の人。
いずれにせよ、巷にあふれるラーメン雑誌よりはこの本の賞味期限は長いと思います。したがってラーメン好きであれば、1冊持っていても後で読み返したりできると思うので長い目で見れば得だと思います。