前著「全1192試合V9巨人のデータ分析」でV9巨人を多角的かつ緻密に分析、プロ野球の本質に迫ろうとした著者が、今度は日本シリーズを中心に米国のワールドシリーズ、五輪、WBCを含む「短期決戦」の全データを分析した。前著に続く究極のプロ野球オタク本だ。
プロ野球経験者ではない分、著者の分析には数字のみを根拠とする冷徹さと客観性があり、精神論の類は一切差し挟まれていない。三原脩、川上哲治、広岡達朗、森祇晶、野村克也といった名監督が、長丁場のペナントレースだけでなく短期決戦でも勝てた理由、反対に“悲運の名将”と呼ばれた西本幸雄が、あるいは “闘将”星野仙一が短期決戦に一度も勝てなかった理由が、評論家など玄人の視点と一味違う分析の下で白日に晒されている。
POSデータの分析だけではヒット商品が創れないのと同様、過去の戦績の分析だけで必勝の戦術を編み出せる訳ではないが、「シリーズ2戦目必勝論」など結果を出して来た人の哲学や戦術には、それなりの論理的根拠があることが改めて実証されている。