昔ながらの喫茶店らしい雰囲気を持つ喫茶店が少なくなっています。
東京に行くと「談話室滝沢」を訪れることは楽しみの一つでしたがそれも数年前から適わなくなりました。本書の14ページにも登場しますが「喫茶室ルノアール」のような昔ながらのサービスを提供する喫茶店が減る一方で、スタバやドトールなどのセルフカフェが街中の至る所に見かけるようになり結構な年月が経ちました。消費者が選択するわけですが、喫茶店文化を懐かしむ世代ですので、そのあたりの推移を知るために本書を読了しました。
21ページには、ドトールとスタバの売り上げを提示していますし、マクドナルドの100円コーヒーにも言及してありました。スタバの掲げる「サードプレイス(第3の場所)」というコンセプトは支持したいと思いますが、当方の近くには見当たりません。今後の展開を期待しましょう。
儲けの仕組みも45ページから書かれています。筆者の高井尚之氏は、ジャーナリストで経営コンサルタントですから、比較的このような経済的な内情に明るい訳ですが、このあたりの記述は興味を惹きました。
113ページからは懐かしい音楽系喫茶店の誕生について触れていました。今は見当たらない喫茶ジャンルもあり、新鮮な驚きを感じています。のべ50店以上の取材を元にした記述ですので、参考になる内容だったと思います。
本書の内容です。まえがき 手軽さの「ドトール」VS.楽しさの「スタバ」(平成時代は“カフェ戦争”の時代、セルフカフェの立役者・ドトールの店づくり、非常識を「常識」にしたスターバックス、セルフカフェの儲けのしくみ) 鳥羽博道氏VS.ハワード・シュルツ氏(二人の創業者が開業に至るまで、温めていた「欧州型のカフェ」、スターバックスの原型はイタリアにあり、 「7つの座標軸」と「グリーンエプロンブック」、スタバとドトールの対照的な部分) 「居心地」を提案した喫茶文化の歴史(一般人とコーヒーの出会いは幕末期、「知識階級のサロン」と「庶民的な店」、「カフェー」が派生しやがて「カフェ」へ、戦後の復興とともに復活、コーヒーよりも「付加価値」を追求した店、個人店・コーヒー専門店の時代、セルフカフェ、シアトル系カフェの時代) 現代型「セルフカフェ」VS.昔ながらの「喫茶店」(最大手が展開する「昔ながらの喫茶店」、コーヒー1杯880円の高級喫茶店、老舗喫茶チェーンも変身中!、70〜80年代の人気店、千葉県郊外の「人気カフェ」、昼と夜でスタイルを変える、閉店を決断したそれぞれの理由) 多様性重視の「総合型」VS.絞り込んだ「テーマ型」(名古屋No.1チェーンは「普段着感覚の店」、「ご近所の喫茶店」がフランス菓子で進化、「自家製」と「地域密着」にこだわる、「価格帯」や「付属設備」で差別化する、店そのものが宣伝媒体に、店と客が趣味で交流する「趣味カフェ」、タバコ問題にどう向き合うか) カフェVS.コーヒー飲料(周りにあふれるコーヒー飲料、伸び続けるチルドカップコーヒー市場、缶コーヒーの主力も「健康志向」、“コーヒーサービス”を武器に伸びる、通信販売に乗り出す焙煎業者) ドトール、スタバの「次にくる」のは?(外でお茶は「脱日常」と「脱家庭」、社会トレンドからカフェを考える、カフェを取り巻く情勢、二〇××年の人気カフェ) あとがき