櫻井さんの本は、何冊か読まさせて頂いていますが、常にジャーナリストらしく時事問題に鋭く突っ込まれており、大変勉強になります。
私も戦後25年たって生まれた人間です。だから、当然のごとく、左翼史観にどっぷりと浸かって高校までを終えました。偶然にも、大学で学んだゼミの先生がその洗脳から解放してくれましたが、いまだ仕事で忙しく勉強不足でもあり、時事問題となると「どのように考えるのがまっとうな考え方なのか」わからなくなる時があります。そんな時、櫻井さんの書かれた本は、私の中に軸をしっかりと作ってくれます。
櫻井さんは、よく右翼的と見なされますが、「事実を探求し、反省すべき点、主張すべき点を峻別しているだけ」だと思います。それを右翼的と見る見方が蔓延していることが、日本が左翼史観に蝕まれている証左ではないでしょうか。
この本を読んで、全く同感だと感じ入った部分があります。それは、2ページに出てくる文章です。「結果、本書に記した数々の問題や危機に見舞われて、わが国は断崖絶壁の渕に立っている。多くの原因が考えられる。けれど、本質的に原因は一つである。首相をはじめとする政治家の質の劣化である」。まったくその通りだと思います。もちろん、産業界も偉そうなことは言えません。私も以前銀行員でしたが、金融などは欧米に完敗してしまいました。ただ、産業界は、製造業が頑張ってくれていますし、また仮に一産業が完敗しても、せいぜいその産業が外資の上陸を受けるぐらいで、大した影響はないと思います。しかしながら、政治が完敗すると国がなくなります。日本人の心が挫かれます。
一体、どうしてここまで政治家が幼稚化してしまったのでしょうか? ここしばらく、日本の政治家が行っていることは、ほとんどの一般の人ができることだと思います。小沢さんが剛腕だと言われていますが、その剛腕さは党内に(内に)向かうだけ(要は、弱いものに向かうだけ)で、中国・韓国に対しては、相変わらず卑屈な対応しかとっていません。アメリカに対しては、時として失礼なまでの対応をとりますが、あれは単にアメリカに甘えているだけのことだと思います。あんなことなら私でも出来ます。
日本は、高校生ぐらいから、政治に関わる意思のある人間を発掘し、育てていくシステムを作る必要があるのではないでしょうか。この間の参議院選でも、候補者を公募していましたが、基本的には、昨日までサラリーマンをやっていたようなぽっと出の人間に、中国の政治家、官僚クラスとの対等な交渉を望む方が間違っているのでしょう。
政治家が幼稚化した原因の一つは、政治家が歴史(特に昭和以降の近代史)を知らないからだと思います。歴史問題でも、事実に対して反論しないのは、敢えて思想信条から反論しなのではなく、「事実を詳しく知らないので、反論できない」のだと思います。そういった点からも、是非高校生以上には、この本を読んでもらいたい。子供たちの歴史教科書の副読本にしたいと強く思います。
以上(2010.8.29)