かの有名な「平和論に対する疑問」をはじめとして、福田のエッセンスが詰まっている。
「平和論に対する疑問」は、当時は激しい批判が起きたそうだが、今読んでみると常識的なことしか言っていない。
それを考えると、当時はどれだけ左傾化していたのやら。
一言で言えば、何でもかんでも「平和平和」と叫んでいればいいわけではない、具体的・個別の問題にことさらに平和の問題をからませて複雑化させ、当の問題の解決を遅らせたりするな、平和運動をどやどややるよりも、今ある平和を享受する方がよほど平和を愛している、ということ。
筆者の論は多方面にわたっているのでまとまっていない気もするが、こんなところだろう。
ほかにも何本か平和に関する論文は納められているが、平和に対する筆者の洞察は鋭い。
また憲法についても、王道でありながら必要なところはきちんと主張・批判している。
平和の問題をはじめ、日本の近代化に関する問題、天皇の問題など、現代でも意義を失っていないものも多い。
最後に、この本が絶版になっているのは非常に惜しい。ぜひとも再版していただきたい。