この本の論者たちは皆、方法意識が明確な人たちばかりである。それぞれの専門分野の方法の有効性・有用性と適用範囲、およびその限界についても熟知している
専門家として鍛えられていることとともに、わからないこと、自分の専門分野の「方法」があまり有効でないかも知れない領域については、他分野の専門家に率直な質問をぶつけることができることも彼らの武器である。それぞれの章末についているクロスインタビューにおいて、それぞれが「素人」としての素朴な疑問、好奇心を提示することで、読者との距離を縮める効果をもたらしている。
大学進学を目指す人たちに現代文の読解や小論文の指導をしている私にとって、彼らに自信を持って薦めることのできる一冊が出たことの喜びは大きい。学部、学科の選択について、学問の「方法」という観点でガイドできる、しかも一冊だけで。これは稀有なことだ。だって、他にはそんな一冊の本、思いつかないから。
荻上チキが、文字通り「メディア」(単数だからミディアムか)として機能している。まさにインターディシプリナリーに個々の論者の間を動き回ることで、それぞれの論が有機的につながり、全体の見通しが開けてくる。
一見、ハッタリ感があるこの書名だが、読み終えてみるとこれはどうやらハッタリではないようだ。いま日本が、そして世界がどうなっているのか知りたい、これからどうなるのかを考える手がかりを得たい、と思っているが何から読んだらよいのかわからない人たちに、直接、手に取ってほしいがゆえのこのタイトルなのであろう。膨大なコンテンツを独占しながら、内部の横の連係すらとることができず、「知」の成果を社会へ還元してゆくことができていない「大学」に対する挑発であると同時に、「大学」を越える新たな「知」の拠点づくりへの野望もほの見える。シノドスの次の動きにも注目したい。