日本の農業生産額は5割の補助金を使って達成されたものです。その中には農家・農協・農水省が各種補助金と税金で購入した物品やサービスの代金、職員の給与も含まれています。これらは本来経費として差し引かれなければならないものです。こうした公的支援の割合は49%(米9.5%,EU27%,2006-8年OECD生産者支持推定量)。だから、日本の保護主義が批判されてきたのです。はたして、これで農業大国と言えるのでしょうか?独自の判断基準という点ではカロリーベース食糧自給率による順位比較と五十歩百歩ではないでしょうか。
そうした過保護によって農産物は高くなっています。やはり高いのは人件費。高効率の製造業ですら外国に工場を移す程です。工業力や軍事力を比較する際にも使われる物価調整法(購買力平価法)によれば食糧生産は日本21位(OECD加盟先進30カ国中9位、国連faostatより)、一人当で130位(先進国中最下位、ワースト3は日・韓・ベルギー)。これが著者が主張する5位(先進国中2位)の実態です。
そんな悪状況下で、某村(P159)のように、数百人の外国人労働者(いわゆる研修生)の雇用で効率経営を実現しているところも多い(本書では、不思議なことに全く触れていない)。
仮に農民以外でも農地売買ができるように自由化したら、一部の大きな農業法人に入り込んできている外資の進出が一般化します。外国ファンドは株を担保に資金を貸してくれるからです(土地建物不要)。外国人労働力(10年住めば永住権、参政権?)なしには経済が成り立たなくなっている村もある。そして経営権も握られたらどうする?補助金により順位が上がってしまったお陰で自国農業が強いと思いこんだ日本が進みそうな道です。
著者は外資支援によるドバイへの日本農業進出の旗振り役でした。省益を解体するのは賛成ですが、バブル崩壊に巻き込まれたり、政治的に農地買占めを推進する体制の異なる外国や、補助金を輸出奨励のために使う外国(米EU)の影響力拡大を招いたりするのは、考え物です。今でも国内で毒餃子事件が起きて不思議ではありません。食の安全を考えるならば、そのことは避けて通れないはずです。