日本の戦後責任を問う視点のひとつにドイツとの比較論がある。
いわく、
ドイツはユダヤ人に対してきちんと謝罪し莫大な補償をしてきた。
しかし日本は戦争被害者に対してなにも補償をしていない。
著者の西尾幹二氏はドイツ文学の先生だが、
いわゆる東京裁判史観、自虐史観に異を唱え、
戦後の歴史教育を見直そうという立場に立つ。
本書はその立場から「ドイツに見習え」論の論破を目的としている。
論旨を端的にいえば、
・ドイツの補償は「ホロコースト」に対するものであって、
戦争被害者に対するものではない。
・ドイツは通常の戦争被害者や戦争犯罪に対する補償はしていない。
・従ってドイツを引き合いにして日本の戦後補償を批判するのは適当ではない。
ということである。
ホロコーストは戦争と同時期に行われたが決して戦争行為ではない、
という論拠は明快で説得力がある。
これと真っ向から対立する論陣を張っているのが
高橋哲哉氏の「戦後責任論」である。
できれば両方を読んでみることをお勧めしたい。