公使としてスウェーデンに実際に住み,住民や政治家の方々と接したり,同国のことをよく研究なさっている著者だからこそ書けた一冊である。歴史・社会制度等の事実と,著者の実体験とが,バランスよくうまく織り交ぜて書かれており,非常にわかりやすかった。私個人としては,スウェーデンの社会制度は本当によくできているな,という印象を抱いた。
とはいえ,気になる点もある。タイトルが「日本はスウェーデンになるべきか?」という問いかけであり,また,同書の冒頭と終わりにも同じように読者に問いかけているが,これだけ好意的にスウェーデンを紹介されれば,この本の枠を超えて調べたり,知識があったりでもしない限り,「なるべきだ」という答えしかないだろう。しかし,問題や欠点がない国など存在するだろうか? 問いかけに対して読者が納得して自ら答えを出せるようにするには,長所だけでなく短所も提示されるべきだと感じた。