本書の著者は、反捕鯨NGOグリーンピース・ジャパンの事務局長。捕鯨反対の
論理が知りたくて一読してみたわけだが、本当にがっかりした。論敵への攻撃
的な姿勢が本書の品位を下げること著しい。「鯨肉の好きな人たちが舌なめずり
してるクジラ」って・・・。まるでいたいけな赤ずきんちゃんを喰らおうとするオオカミ
みたいな言われようである。普通の日本人は「捕鯨の何がいけないのか?」を
直裁に問いたいはずだが、それにはまっすぐ答えず、「国際社会は捕鯨反対な
のに、日本だけがいつまでも駄々をこねている」との印象操作に終始している。
水産庁を貶め、悪魔化することで支持者が増えるとでも思っているのだろうか?
とにかく自分たちの主張に都合の悪い情報・データはすべて信用ならないもの
と決めつけ、反捕鯨国の言い分にはほとんど注文をつけない。捕鯨支持の声を
国粋主義に結びつけるのはプロ市民らしいサヨクぶりでお約束だが、メディアや
識者を水産庁の廻し者呼ばわりとは傲慢も極まれりだ。また日本が商業捕鯨
10年間モラトリアムへの「異議申し立て」を取り下げた理由について「米国の仲
裁を受け入れ」たため、とは呆れる。実際は日本のトロール漁船をアラスカ沖か
ら締め出すぞと米国が脅迫したからなのは誰でも知っていることではないか。
捕鯨船への暴力的妨害行動を悪質なデマだと吠えるが、日本はIWC加盟国を
金で釣っているとデマを流す。その根拠が捕鯨賛成国の多くに水産ODAを出し
ているから、というのには笑った。出さなければ出さないで文句を言うくせに。
ツッコミを入れたい箇所は山ほどあるが、紙幅が許さない。政治的主張だけが
先走る本書のような駄本に騙されないよう、捕鯨への知識を深めたいものだ。