日経BPネット「あなどれない新書たち 若手に役立つ雑学の本」の紹介から、興味を持って購入。
『日本の15大財閥―現代企業のルーツをひもとく』(平凡社新書)の続編に位置付けられるとのことであり、「同族企業で世襲をもくろむ創業者一族と、脱同族を掲げる専門経営者の攻防」がテーマである。まえがきで述べられている「『同族企業』に関する明確な定義はない」ことが、本書のオリジナリティを表していよう。
本書で取り上げられた15の同族企業の中には、他の企業一族の顔が出てくる。さらに、住友家を始めとする財閥との婚姻関係が。多くの同族企業で絡んでいる。“財界”は意外に狭いのかな、という印象を持った。また、世襲一族の中には20代で取締役についた人物もいたことは、かなり驚いた。
「広く浅く」というモットーから、その“攻防”についての記述は、年表ベースの割りとあっさりしたものとなっている。致し方ないだろうが、企業別の各章ページ数は平均20ページと読みやすいというメリットもある。各章末にある、創業者一族の家系図・企業系統図・上位株主推移表は、「筋金入りの系図マニア」と自称する筆者の渾身の作であり、資料的価値は高いと思われる。
あとがきに印象的なコメントがあったので、紹介したい。
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「広く浅く」が執筆スタンスの本だからこそ、就職活動を控えた学生さんや企業で働く多くの皆さんに読んでいただいて、
「戦時中、東急と京王・小田急・京浜急行が合併していた」
「東宝は東京宝塚劇場の略称で、宝塚歌劇団の東京拠点って意味だった」
「テニスプレーヤー松岡修造の曾祖父は阪急電鉄の創業者で、祖母の祖父も松岡修造という名前だった」
というようなことを、後輩や同僚に語って優越感にひたって欲しい。
そんなところから、企業や経営学に対する興味が芽生える。そう信じているからだ。
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MBAなどとはまた違った視点から、日本企業経営の一面について学ぶことができる一冊である。