雄略天皇は外戚を排除し、シナ(本書では中国と呼ばない)への服属外交をやめた「並びなき君主」、
継体天皇は豪族が新王朝を樹立しなかった血筋の力、
推古天皇は東アジア初の女帝のシナとの対等外交、
天武天皇は本格的な律令政治・記紀の編纂・現代に伝わる祭祀を始めたカリスマ、
称徳天皇は不婚、そして道鏡を中継ぎの天皇としようとした皇統維持の尽力、
桓武天皇は平安京遷都はもちろん、国内体制の整備と支配領域の拡大、
後鳥羽天皇は鎌倉幕府との対決と子孫の数奇な運命、
後奈良天皇は史上最も衰微した朝廷にあって、民の困窮を救わんとした写経等の活動、
後水尾天皇は江戸幕府への抵抗と権威を高める文化史上の偉大さ、
昭和天皇は近代立憲君主制の枠を超えた聖断、
に着目して10人の天皇を選び、権力を伴っても、あるいは権威だけであっても、無私・公を体現した天皇の姿に、この国のかたちの芯とその形成過程を見ようとする。
新書で約450頁だが、字は大きく、文体も軽いので読みやすい。日本通史の本ではないが、例えば明治・大正天皇にも触れる等、前後の歴史のポイントもおさえる。
道鏡は皇胤だったのでは、と古代史論点への自説展開も説得力あり。