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日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)
 
 

日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫) [文庫]

松本 清張
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

下山事件、もく星号墜落事件、昭電・造船疑獄、白鳥事件、ラストヴォロフ事件、伊藤律事件、接収ダイヤ問題、帝銀事件、鹿地亘事件、松川事件、追放とレッド・パージ、朝鮮戦争。占領下事件内幕
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

戦後日本で起きた怪事件の数々。その背後には、当時日本を占領していた米国・GHQが陰謀の限りを尽くし暗躍する姿があった。しかし、占領下の日本人には「知る権利」もなく真相を知る術もなかった。抜群の情報収集力と推理力で隠蔽された真相に迫った昭和史に残る名作。名推理として知られる「下山国鉄総裁謀殺論」など。

登録情報

  • 文庫: 413ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2004/12)
  • ISBN-10: 4167106973
  • ISBN-13: 978-4167106973
  • 発売日: 2004/12
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
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42 人中、38人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 これは,不世出の社会派推理小説作家である松本清張が,GHQ占領下の日本の暗部にメスを入れた貴重なノンフィクション作品である。上巻では,下山事件,もく星号墜落事件,昭電・造船疑獄事件,白鳥事件,ラストヴォロフ事件,伊藤律事件が扱われている。

 1945年8月のポツダム宣言の受諾から1951年9月のサンフランシスコ講和条約の調印までの間続いたアメリカ軍による日本占領の期間,日本国内は,不可解,奇怪な事件,壮絶な組合闘争等が相次ぎ,混沌かつ騒然とした空気に満ちていた。
 その背景には,GHQの統治政策の大きな変化,すなわち,1946年の公職追放令から朝鮮戦争を契機としたレッドバージヘの転換(1950年)が色濃く見受けられる。
 さらに,清張は,本書で取り扱った各事件に関する資料を丹念に調査するうち,G2(参謀部第二部作戦部)とGS(民政局)のGHQ内部の対立,そして,これに絡むCTS(民間輸送部)等の暗躍が,いずれの事件の背後にも見られることに気付く。
 本書では,全ての事件にこれらの対立構造,権力構造が見え隠れする,そのような観点から事件の闇の部分に鋭く迫っている。

 「戦後三大鉄道謀略事件」とも呼ばれることもある下山事件,三鷹事件,松川事件のうち,上巻で取り上げられた下山事件には,やはり力が込められており,グイグイと読ませる。必ずしも十分ではない資料と資料との間を,点と点とを繋ぎ合わせていくように推理,推測した上で,「黒い霧」を少しでも晴らすようにと一つの仮説を立てていく清張の力量には並々ならぬものを感じる。

 そして,最も重要なことは,これらの事件の存在すら忘れられかけている現在,GHQの日本占領史の裏の裏にまで迫るような迫力で書かれた作品は殆ど存在しないということである。
 清張は自ら,「(GHQの日本占領史の多くは,)『正統的』な現代史といった概観的なものが多く,私のような感じ方で書かれたものは少い。こういう事件も,今のうちに,何らかのかたちでメモしておかなければ,将来,分からなくなるのではなかろうか,というのもこれを書いた私の密かな気負いであった。」と語っているが,不幸にして,この予測は当たってしまっている。
 もちろん,若干の論理展開の荒い部分ば感じられることは間違いない(本書を巡っては,清張と大岡昇平との間で論争らしきものも起こったようである。)。しかし,さらに混迷の度を深めている21世紀のはじまりに,日本における「戦後統治」の実像を辿る資料として,本書は,やはり一級のものというべきであろう。

 本書は,しばらく入手困難であったが,最近の清張ブームに伴い,久々に新装版として帰ってきた。このような歴史的著作物が消え去ることなく復活したことに,心から賛辞を送りたい。

このレビューは参考になりましたか?
19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 これは,不世出の社会派推理小説作家である松本清張が,GHQ占領下の日本の暗部にメスを入れた貴重なノンフィクション作品である。上巻では,下山事件,もく星号墜落事件,昭電・造船疑獄事件,白鳥事件,ラストヴォロフ事件,伊藤律事件が扱われている。
 1945年8月のポツダム宣言の受諾から1951年9月のサンフランシスコ講和条約の調印までの間続いたアメリカ軍による日本占領の期間,日本国内は,不可解,奇怪な事件,壮絶な組合闘争等が相次ぎ,混沌かつ騒然とした空気に満ちていた。その背景には,GHQの統治政策の大きな変化,すなわち,1946年の公職追放令から朝鮮戦争を契機としたレッドバージヘの転換(1950年)が色濃く見受けられる。さらに,清張は,本書で取り扱った各事件に関する資料を丹念に調査するうち,G2(参謀部第二部作戦部)とGS(民政局)のGHQ内部の対立,そして,これに絡むCTS(民間輸送部)等の暗躍が,いずれの事件の背後にも見られることに気付く。本書では,全ての事件にこれらの対立構造,権力構造が見え隠れする,そのような観点から事件の闇の部分に鋭く迫っている。
 「戦後三大鉄道謀略事件」とも呼ばれることもある下山事件,三鷹事件,松川事件のうち,上巻で取り上げられた下山事件には,やはり力が込められており,グイグイと読ませる。必ずしも十分ではない資料と資料との間を,点と点とを繋ぎ合わせていくように推理,推測した上で,「黒い霧」を少しでも晴らすようにと一つの仮説を立てていく清張の力量には並々ならぬものを感じる。
そして,最も重要なことは,これらの事件の存在すら忘れられかけている現在,GHQの日本占領史の裏の裏にまで迫るような迫力で書かれた作品は殆ど存在しないということである。清張は自ら,「(GHQの日本占領史の多くは,)『正統的』な現代史といった概観的なものが多く,私のような感じ方で書かれたものは少い。こういう事件も,今のうちに,何らかのかたちでメモしておかなければ,将来,分からなくなるのではなかろうか,というのもこれを書いた私の密かな気負いであった。」と語っているが,不幸にして,この予測は当たってしまっている。もちろん,若干の論理展開の荒い部分ば感じられることは間違いない(本書を巡っては,清張と大岡昇平との間で論争らしきものも起こったようである。)。しかし,さらに混迷の度を深めている21世紀のはじまりに,日本における「戦後統治」の実像を辿る資料として,本書は,やはり一級のものというべきであろう。
 本書は,しばらく入手困難であったが,最近の清張ブームに伴い,久々に新装版として帰ってきた。このような歴史的著作物が消え去ることなく復活したことに,心から賛辞を送りたい。
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13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mfhty トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 本書は、1960年の文芸春秋に連載され、1974年に文庫化された本の新装版(2004年12月発行)。

 取り上げられている下山事件、「もく星」号遭難事件、白鳥事件などから半世紀以上の時間が経過しており、いずれも「歴史」の一部になりつつあるが、今読んでもさまざまに考えさせられることが多い。

 

 著者は、戦後の諸事件を、GHQ内のG2とGSの勢力争いや共産党対策を目的とした謀略史観から丹念に構成している。私は、これらの事件は名前だけで内容はほとんど知らなかったが、その知識を得ることができた。そして、現代にあって、日ごろ何気なく事件のニュースをみているが、その背後の事情を余り深く考えていなかったことに改めて気付かされた。

 事件そのものが相当昔の事件であり、著者も読者が他の報道で多くの情報を持っていることを前提に書いているため、ややわかりにくい部分もないではないが、内容がとても興味深いものであることから、引き込まれてしまう。実に興味深い本である。
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投稿日: 2009/8/4 投稿者: 白い夜明け
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