日本は先進国だから、漁業管理でも先進国なのだろうと思っていたが真逆で、獲りたいだけ魚を獲れてしまうために乱獲状態で漁獲量が減っているという。早い者勝ちだから小魚でも何でも獲れるものは獲ってしまう。クロマグロの場合、5年待てば100倍になるが、5年待つ前に誰かに獲られてしまうから、魚粉にしかならない0歳魚でもまさに一網打尽で獲り尽くす。漁獲高は上がっても生産額という点で大きく見劣る。また、近年は漁獲量自体も減ってきた。
著者は、補助金をやめ、漁船ごとに漁獲量を割り当てた個別漁獲枠制度の日本への導入を提案している。この応用で、漁獲枠の取引をできるようにした制度も含めれば、日本以外の世界の主要な漁業国はすべて、船ごとの漁獲枠制度を導入している。一人当たり漁獲高が日本の6倍以上あり、水産品輸出量世界一のノルウェーを例に、漁獲量割当制度のメリットを解説する。自分に割り当てられた枠を買い叩かれるような魚粉用で埋めたくないから、良い魚だけを狙う。漁獲枠の割り当てを巡っては世界どこでももめるし、乱獲で失われた生物量を取り戻すために最初はかなり制限されるが、効果は確実にあるという。
三陸の漁村や漁船は震災で壊滅した。著者はこれを機に、過剰な漁船数に戻すのではなく、漁船や漁村に漁獲枠を割り当てる資源管理型漁業の導入、漁業者の統合による漁業経営の効率化などを提案している。現状説明と分析はロジカルで、巻末の水産物と放射能の関係も納得しながら読めた。