「日本万歳!」的な狭い視点で書かれたものではなくて、世界中の音楽に触れた経験と知識から、『日本らしさ』と『世界との共通点』を導き出しています。別な言い方をすると、『日本音楽は特殊でもないし未発達でもない』ということ。
これ、本当に日本らしい音楽や伝統は何か?ということをつき詰めて考える上では欠かせない視点だと思いますが、よほど歴史に踏み込んで考えない限り、「邦楽=日本らしい音楽」で思考が止まるのだと思います。
(* 明治維新以降の西洋音楽偏重の音楽教育の負の遺産)
たとえば、「日本らしい伝統音楽」として・・・、雅楽・仏教音楽・琵琶楽・能・狂言・尺八・筝曲・三味線音楽・語りものについて触れているのですが、多くの楽器や文化が中国やペルシアなどの大陸にゆかりのあるものだととらえた上で、日本人・日本語の社会の中で成熟し解釈されてきた部分に本質を見出そうとしています。
つまり、『大陸文化』との共通点に対する視点が欠かせないとも言っていて、日本の音楽が世界の音楽に比べても特別な音階やリズムをもっているものではないということも述べています。
音階については、朝鮮やインドネシアや・・・その他の多くの国との共通点を。
※ 神道由来の歌(御神楽)や楽器(しゃく拍子、和琴、神楽笛)のみが純粋に「日本らしい」と言えるため。ただ、これも考古学レベルで調べていくと、和琴の原型も大陸から伝わったと思われる痕跡もあったりするので、どこからが純粋に日本のものといえるのかは不明。
この人の持っているような、普遍的な視点をもって過去の伝統音楽を俯瞰し、
現代的な視点で消化できれば、伝統を踏襲した味わい深い『今風な音楽』が創れるのだと思う。