著者の主張はシンプルでわかりやすい。日本の雇用社会の本質は、職務の定めのないメンバーシップ型であること。日本型雇用システムの特徴とされる長期雇用慣行、年功賃金制度及び企業別組合(いわゆる「三種の神器」)は、すべてこの本質から派生するものであること。外国の雇用システムはジョブ型であり、職務の内容は契約で決まる。日本の労働法制も基本的にはこのジョブ型であるのだが、判例法理や政策立法によってメンバーシップ型に修正されてきた。
これらは、前著『新しい労働社会』から一貫する主張である。『新しい〜』は国際比較の観点と歴史的パースペクティブに立つものだが、本書は日本の雇用システムの形成過程の叙述に特化したものである。そのぶんディープな話題もある。しかし著者の問題意識と研究対象とのつながりが「まとまり」としてよく見えてくるのは本書である。
教科書として、とても読みやすく書かれており、安心してお勧めすることのできる本だ。とりわけ学生には読んでもらいたい。あなたたちはいずれシューカツで苦労することになるが、会社が求めるのはジョブを遂行する能力ではなくメンバーとなる資質、要するに相性なのである。能力がないのは努力不足だが、相性の悪いのは、少なくともあなたの責任ではない。理不尽なシューカツで自信を失くす前に読んでほしい一冊である。