新緑の季節、透き通った野山の緑、森に分け入り鳥たちの住み家にお邪魔する。DVDで聞き取っていた鳥の鳴き声を、事前に手作りのバードコールで練習しておき、その擬似鳴き声を
そっと試してみる。反応はいまいちだが反応してくれるときがある。
今度は口笛で呼びかけてみる。私と孫の競演でさえずりが始まる。簡単にできるわけもないのに時間を忘れ呼びかけた。口の中がカラカラになるほどさえずり疲れ果てたころ、ようやく
身近な小枝で鳥の反応の声を聞くことができた。もうすでに2時間近く経過していた。
恐らくその鳥は、木の上から私たちを見ていてかわいそうになったので応えてくれたんだと思う。そう簡単に鳥の鳴き声をまねることができるはずはない。
考えてみると、この2時間近く私と孫は鳥たちの生活空間に無断で分け入り、鳥たちから見れば騒音を撒き散らしていたんだ。大変申し訳ないことをしたもんだ。
そのことに気がつくと、私は孫に囁いた。「ここでは静かにしていろいろの鳥の泣き声を聞くことにしよう。」といって、二人は天を仰ぐように目を閉じて枯葉の上に寝そべった。
そうしたら、あちらこちらからたくさんの鳥たちの声がこだまするように聞こえ、鳥同士の
愛の囁きとも取れる掛け合いも感じるように、夢心地になった。
もう我われ人間は鳥たちの邪魔をしてはいけない。
家路につきながら「これからは鳥の住み家では邪魔をするのは止そう」と誓い合った。