古来からの着物、陶磁器、絵画や甲冑の図案で使用された色や自然界の色を取りだし、いかに日本には多くの色が存在し、認識してきたかを多くの図版を集め、配置することで浮き上がらせようとした企画だと思いました。
全ページカラーですし、それぞれの色の例示されたものと色見本が一緒に掲載してあり、どのような名の色なのかを知ることができます。
染織や洋裁、美術、工芸などの仕事をめざす学生やそれに従事している人には必要な書でしょうし、衣装デザイナーやイラストレーターにも有用だと思います。
単純に日本の美しい配色を眺めているだけで、心が豊かになるようです。
34ページの「季節のデリケートな移ろいが、やわらかなパステルトーンの襲の色目をつくりあげていった」という説明の通りでしょう。王朝時代の十二単を例に挙げて説明してありますが、濃淡やアクセントの感覚は歴史や伝統を感じさせるものでした。
日本の色の豊潤さを現代の日本人が理解していないのはどうしてでしょうか。
166ページ以降に色彩索引として撫子色、紅梅色からスタートして呂色まで250色の色見本がありました。ほとんどの色の名を知らない我々は大切なものをどこかに置き忘れてきたようです。続く英語による色名のほうがしっくりと来るのですから。
例えば、「露草色」と言われても脳裏に色は浮かびませんが、「Cobalt Blue」と英語で表記すると理解できるのはどうしてでしょう。「深緋」は「Chocolate Brown」、「曙色」は「Salmon Pink」なども同様でしょう。
内容の一部です。
四季の彩り(春'紅梅・桜・桜萌黄・柳・山吹重・躑躅 夏'楝・卯の花・蓬・菖蒲・葵・撫子 ほか)
日本の伝統配色(日本人の色彩感覚と配色 艶 ほか)
美術・工芸の配色(絵画・武具・彫刻・陶磁器・漆芸・染織)
色の歳時記(京の年中行事・着物・和菓子・ぽち袋・裂・千代紙)
日本の配色 解説(色彩索引 色彩解説 ほか)