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理念なき妥協によって作られた日本の選挙制度はうまく機能していないと批判し、古今の識者たちの考え抜かれた議論を紹介し、小選挙区制・比例代表制それぞれの選挙制度がどのような理念に立っているか明らかにし、各制度におい!て細目(選挙区の規模や候補者名簿のありかた等)が重要な違いをもたらしうることを指摘し、大統領制・二院制・立候補システムなどの諸制度との関連についても言及する。
著者の現在の立場は単純小選挙区制導入論とのことだが、その主張に賛同しない人(私も賛同しないが)にとっても、本書は情報量・考え方ともに参考になるところが多い。
なお、選挙制度に関心を持たれる方には、加藤編『選挙制度の理論と現実』、梅津ほか『比較・選挙政治』の併読をおすすめする。いずれも選挙制度や各国政治選挙事情について考えさせてくれる好著である。
なぜなら、本書の内容は新書としては専門的になっているし、
本書の主題である選挙制度は、複雑に入り組んだものであるからだ。
もちろん、著者は、それを大変平易な言葉で分かりやすく解説している。
しかし、事前知識のない一般の人が、
スラスラとこの新書を読み終えるほどの内容であるとは思えない。
本書を手ごろな新書として扱う英断に経緯を表したいが、
率直に言って、どこまでその狙いが達成されるかは疑問だ。
選挙制度を知ろうという意欲に燃えた人でない限り、
最後まで読みとおすのは、大変に根気のいる読書になると思う。
にもかかわらず、私は本書をより多くの人に読んでもらいたい。
選挙制度論議で陥りやすい罠を十分に紹介しているからだ。
私のような半可通には、目から鱗の落ちる記述が、無数に出てくる。
日本の政治が、今よりもまともになるためには、
本書がベストセラーになるぐらいの読書を、国民がしなければならない。
それにしても、この本は書名に親切心が表れていない。
「日本の選挙制度」としたほうが、内容に合致する。
選挙というよりも、その裏に隠れた思想や理想に焦点を当て、
翻って、日本の選挙制度論議に最も欠けていたものが理念であることを、
教えてくれる。
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