これはものすごいルポルタージュだ。
筆者の文章が上手で、内面の部分は力強いが決して感情に流されることもなく、
また史実についてはわかりやすく的確に説明されているので まるで小説を読んで
いるかのように思えた。そう、なんだか「昔、われわれが子どもだった頃までは
こういったことがあったんだよ」という昔話のように見えてしまっている。
本当のところどうなんだろう。
そういった読後感を持つように意図的に書かれたのか、事実がそうなのか、それとも
著者がこの問題はもはやこうなっていて欲しいという願望なのか、それがわからない。
この本だけを読んで、この問題をわかった気になってはいけないのだろうと思う。
立場や考え方の違う人達それぞれの切り口で書いているので数冊読んでみたほうが
実際の温度がわかると思う。この本は比較的ドライだ。
後半部分で著者の心の奥での悩みが書かれているが、その分を表に出さないように、
著者は歯を食いしばって生きているように見える。だからウェットな部分を極力排除して
いるようだ。