経営セミナーとか講演会で、流暢な、飽きさせない語り口なのに、話が終わった後に振り返ると何も残っていない、ということがたまにある。この新書はまさにその手の1冊。年功序列型賃金と成果主義(または職務給賃金シフト?)の間のグラデーション、賞与や退職金にみられる新旧の仕組みにみられるグラデーションはさまざまで、一般論でいえば、日本的な「知恵の集約」の結果、たぶんその中間あたりに落ち着くのでは、という、目新しさのほとんどない観測・見解ばかりが続く。
記述には繰り返しがやたら多く、さらに、個別の企業名が出てくるのはパナソニックの退職金前払い制の時だけ、個人名が出てくるのは、島津製作所の田中耕一さんに対する特別報酬絡みの話の時だけで、ほぼ全編が抽象的かつ概論的かつ一般的。また、筆致のスタイルからは書き手の個性が全然見えて来ず、結論的に言えば、☆は三つで十分だと思う。