本書で取り上げられている薬害と、欧米で認可されている薬が、何年も遅れないと日本では認可・販売されないドラッグラグという“人災”は、これからも続くであろう。
何故なら多くの患者発生を予見しながら、販売を止める事無く、今も認可を先延ばしにし、患者を見殺しにし続ける厚生省・製薬会社ともに、刑事罰が問われ再発防止の立法がなされず、舛添大臣のドラッグラグをなくす約束も、総理ですら毎年変えざるをえないような政府では、果たされるかどうか定かではないからだ。
H.I.V.では、厚生官僚・製薬会社代表に軽いながらも有罪判決が出、世界でも珍しく臨床医の責任も追求したが、C型肝炎での米で被害が出ているのを知りながらも黙認した官僚不作為責任、販売を続けたミドリ十字の責任追求は無い。
これらの事情から、今回の著者らはレアケースであり、政府が認定する公害病患者の審査基準が厳しく、認定されない人が大勢いるのと同時に、薬害患者の全て(肝炎だけでも350万人!)が認定されるわけではなく、薬害については教科書にすら載せず、大阪の橋下知事が一旦は、早期発見のための先天性異常代謝等検査事業(マススクリーニング)の予算を廃止(見直しはされた)している現状を見ると、なんと情けない政治かと落胆してしまう。
「人は助け合って生きている」との建前はよく聞かれるが、実際に「あなたは誰を助けていますか?」と問われた際、言葉に詰まる人が殆どではないか?
そんな人に彼女たちはチャンスを与えてくれているのだと感謝し、困っている人を知る努力を怠らず、その人たちに少しでも助けになることができるのだと認識し、是非何らかの行動を起こして欲しい。
そして自分が助けられる側に“一時的に”ないのだと理解すると共に世論を喚起し、踏みつけられ続ける人が一人でも多く助かるためにも、読者は二人の行動にメッセージを突きつけられているのだと知らねばならない。