1.内容
OECDが調査した、日本の若者の雇用に関する現状調査と提言。まずは「要約と提言」、「訳者解説」、「監訳者あとがき」を熟読して(要約はここに書いてある。私見は2にて)。
2.評価
日本の若者が、教育や雇用の上で置かれている現状がよく書かれている本である。(1)「非正規雇用から正規雇用への移動の可能性は低」(p54)い、(2)日本と異なり、多くのOECD諸国では「学校を離れた者が初職を見つけるには長期間かかることが多い」(p38)、(3)日本の後期中等教育において受験があるのは「OECD諸国の中でも極めて特殊な選抜システム」(p60)、(4)「日本では30歳以上のいかなる労働者も魅力的な仕事の機会を探す上で厳しい困難に直面して」(p89)いる、など、なるほどと思う知識が多かった。ただ、疑問もある。(ア)この本では、職業体験を奨励しているが、そんなに有効なものだろうか?そもそも参入時に職がなければどうしようもないと思うが。(イ)高等教育について、「需要が減っている学部やコースから需要が増えている学部やコース資源を移す」(p70)ことを提言しているが、規制を緩めても実際に可能なのか?これは企業が決めるのではなく、学生や教授が決めることのはずで、大して効果がないのではないか?(ウ)「若者個人の意欲(カッコ内略)の欠如に起因」(p114)させることに批判的だが(これ自体は正当)、そのわりには、若者自立塾に対する批判が足りないと感じた(「意欲を失った」(p112)者に対するプログラムであれば、いかがなものか)。以上、おおむね妥当であり、参考になる書物だが、いくつか疑問もあったので、星4つ。