小松美彦さんなどの本を読むと、「脳死は人の死」とは思えなくなる。
そこで、「脳死は人の死」と主張している人の新しめの本はないかと思いこの本に行き当たった。
だが、この点については肩すかしをくらったという思いのみが残った。
第6章「脳死をめぐる問題」を見ても、つまるところ
「日本などほんの数カ国を除いたほとんどの国が脳死を一律に「人の死」と法律や学会で定め、
そこからの臓器提供を認めています。ローマ法王庁もそれを支持しています。」
ということしか書いてないようで
そうした諸外国の判断が下された経緯や論拠についての説明や
またそうした判断を日本でも支持するべき根拠がまったく示されていない。
外国では大体こうだから(そのことだけを理由として)合わせるべきだ、
というのは議論としては不十分で、
この論法を押し出す人は同様に、日本の再軍備、死刑廃止を推進する用意がなければならない。
上述の箇所に続いて本格的な検討に入るかと思うと全く入らない。
どころか、「生命維持装置を付けられた脳死状態で延命させられるのは人間の尊厳に反する」という
議論に入る。この主張の意味は、脳死状態に陥ったら心臓死を意図的にもたらして問題ないという
ことであるが、「人の死」を迎えたということが確立されていないのに、心臓死をもたらしても
いいといえるのはなぜなのか疑問である。