神戸で育った少年時代から西洋の文学、美術、音楽に興味を抱き、戦前にドイツ留学し西洋美術史を学び欧州の主要な美術館を巡った東山さんは日本の平安の古典も含めて芸術への造詣が深く、本書ではその類まれな炯眼で日本の美を深く掘り下げています。
東招提寺の障壁画を描いた1975年の随筆、講演からほぼ構成され、戦争前後に両親、兄弟を失い心に闇を抱える著者の生きた言葉(日本の美への洞察・炯眼・警鐘・画家へと導いてくれた中学の恩師の言葉、心を通わせた川端康成氏への回想等)の数々に溢れる本書は芸術を愛する人、芸術家を目指す方には必読の書(120ページ程度)だと思います。