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日本の米―環境と文化はかく作られた (中公新書)
 
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日本の米―環境と文化はかく作られた (中公新書) [新書]

富山 和子
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

日本の山河は二度にわたる大土木事業の結果である。先祖たちはいかにして大地に刻みをいれ、今日の山、川、平野を作ってきたのか。『水と緑と土』の著者が米を通して日本の歴史を検証。一滴の水も森林も古墳も、さらにはコンピュータに強い現代人の特質までも米の文化の所産であることを説き、日本人が米作りを放棄すれば環境も文化もアイデンティティも失うと警告する。土木の世界に光を当て、農業の価値を新しい視点から捉え直す。

登録情報

  • 新書: 231ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1993/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4121011562
  • ISBN-13: 978-4121011565
  • 発売日: 1993/10
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
私は3年前に農業に関わる仕事につきました。今はさびれましたが、北九州市の戸畑区という新日鉄をはじめとする工業地帯の町で、水田はほとんどない所に生まれ育った私には、まったく未経験の分野です。ですから、一反とか一町とか言われても、どのくらいの広さなのか。稲作と言ってもピンとこないというのが正直なところでした。出来るだけ、現場を見ようと農業の現場、農業者の話を聞くことから始めました。その二年目にであったのがこの本でした。漠然と「日本の農業を知るには米づくりのことを知らなければ」と思っていた私の目に飛び込んできたのが実は、この本の著者、富山和子さんが小学生向けに書いた「お米は行きている」という本でした。古本屋の本棚で見つけ、それを読んだ私はその内容に引き込まれました。確かその中に、その原作であるこの本=「日本の米ー環境と文化はかく作られた」の紹介を見たのでしょう。幸いにも私はこの本を、その同じ古本屋の105円コーナーで見つけたのでした。
 私は、この本で、米がいかに優れた農産物であるか、すぐれた豊かな栄養素にあふれ、一粒の種籾から2000ないし3000粒の米粒が生まれるという生命力、貯蔵ができる、それだけでもおいしいことなど初めて知りました。また、日本国中に、稲作、水田づくりを可能にした土木技術、灌漑技術、それに必要な数学=算術の発達がピラミッドに比肩する巨大建造物の建設を可能にしたこと、それを可能にした指導力、財力を培ったことなどを知りました。富山和子さんの話はさらにそこから始まって日本の環境と文化がいかにつくられたかに展開していくのです。そうだいな歴史小説を読むように、あっというまにその世界に引き込まれ、確か一晩で読み終えたと思います。本の冒頭部分の佐賀県の吉野ヶ里遺跡に見られる王国がいかにして滅亡したのかと言う推理は非常に興味深く、有明海の「アオ」の存在を初めて知ったのもこの本のお陰です。この本は日本人の歴史のさまざまなドラマを織り込んで書かれており、学術書の堅苦しさはありません。私は、この本を繰り返し読みながら、会う人会う人に、農業に少しでも関心のある人に、この本と、冒頭に書いた「お米は生きている」を読むように薦めています。ついでに、この本のそのまた原論が、富山さんが30数年前に書いた「水と緑と土ー伝統を捨てた社会の行方」(中公新書)で、その中で、提唱された「水田はダムである」という至言は、現在、ダム建設反対運動など環境保全や都市計画をめぐる運動に取り組んでいる人びとにとって最高の宝を提供していると思います。
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By 仮面ライター VINE™ メンバー
形式:新書|Amazonが確認した購入
  
 米を語る。それは水を語ること、緑を語ること、土を語ることであり、相撲をはじめとする民族文化を語ることであり、日本文化の土台と特性を語ることであり、「地方」を語ることであり、地球環境を語ることであり、そして、日本人のアイデンティティを語ることであった―本書p.222

 私は、当著を『水と緑と土』(中公新書,1974)、『水の文化史』(文藝春秋,1980)と並ぶ、富山和子さんの日本における《水の文化》シリーズの代表的著作と位置付けており、当書を含め、これらの作品を《水の三部作》と呼んでも間違いはない。事実上のデビュー作と言って良い『水と緑と土』で、富山さんは「水と緑と土は同義語である」と断案した。次の『水の文化史』では、「川」を通して日本の歴史を振り返っている。この著書では「水(=川)と緑(=森)と土」によって育まれた「米」に焦点を当て、日本の歴史と文化を語る。

 水と緑と土―それらを宇沢弘文東大名誉教授の説述する「社会的共通資本」と措定しても良いだろう。その日本人にとって実に大切な「社会的共通資本」によって産み出される米こそ、まさしく「水と緑と土」の申し子であり、実際、「第一に、栄養価が高く、栄養バランスにおいても優れ」「第二に、生産性の高い作物であり」「第三に、長期間の保存に耐え」「第四に、おいしかった」(本書p.19)。そして、「水との緊張関係の文化=水をコントロールする文化」は稲作とともに始まり、二度にわたって「列島」の大改造も行われた。 

 「二度にわたる国土改造。その最初の改造は稲作開始から律令国家の成立、条里制に至る、長い時代であり、第二の改造は、室町末期から江戸中期にかけての、治水と新田開発の時代であった。この大事業によって、今日の日本列島の姿が、ほぼかたちづくられる」(同前p.35)のであった。まさに日本の「土地というものは米が作った」。「まことに絶妙な水のコントロールの上に浮いている島。それが現在の日本列島の大地」(同前p.109)だ。私達は“水との緊張関係にある文化”というものに思いを馳せる必要があろう。 
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形式:新書
本文の一番最後の文章、「米を語る。それは水を語ること、緑を語ること、土を語ることであり、相撲をはじめとする民族文化を語ることであり、日本文化の土台と特性を語ることであり、「地方」を語ることであり、地球環境を語ることであり、そして、日本人のアイデンティティを語ることであった」(p.222)。これが結論である。

冒頭では,著者の不満が書き込まれている。「吉野ヶ里」遺跡から始まり、この遺跡の発見当時のフィーバーぶりはともかく、そこにかつて栄えた集落と文化があるとき、忽然と消え、その消滅が米の問題と重ね合わせて論じられなかった、と。日本人との米とのつきあいの問題を軸に、新田開発、治水(水抜き、溜池)、灌漑、堰、条理制、用水、干拓、埋め立て、森林、治山、砂防、客土について、著者は論じていく。

「水田はダムである」という言葉に象徴される富山理論である。壮大な日本文化論であり、それは日本の土地制度上の大改革を「大化の改新」「太閤検地」「地租改正」という長い歴史のなかに鳥瞰しつつ、全国を津々浦々めぐって得た地理学的知見に見事に凝縮されている。ほとんど無名に近い土木の天才の存在にも驚かされた。

「文明とは余剰生産物の結果」(p.110)などのテーゼが出てくるかと思えば、土地の測量との関連で和算の話が出てきたり、宮本ユリ子のおじいさんである福島県典事で安積開拓の父・中条政恒(p.154)、新渡戸稲造の兄である著名な土木技術者・新渡戸七郎(p.158)が登場したり、「米」を基点にした縦横な展開に感心した。鳥浜貝塚(福井県)、菜畑貝塚(唐津市)、板付遺跡、曲り田遺跡(福岡県)、中高瀬観音山遺跡(群馬県)、造山・作山古墳、三ツ寺遺跡(群馬県)、大山古墳、古市古墳群、百舌鳥古墳群、太田千畳敷、大和川の付け替え、見沼代用水、筑後川山田堰、吉井川田原井堰(岡山県)、十二貫野用水(富山県)、安積疏水、野蒜築港等々。
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