別のレビュー子氏が「沿線に住んでいない者」という言い方をしていたが、まさにその点が
この本の(別の意味での)見所であると思う。筆者も京阪の沿線育ちであるだけに、どうしても
身びいきで見る面があるが、距離を持って眺めた場合にはそうした観点もあるという点で新鮮で
あった。
ただし、表現等において誤解を招きかねない点が一部見られる。一つは「京都駅へのアプローチ
が悪い」という中で、阪急の烏丸・地下鉄乗り換えルートに対し京阪の丹波橋からの近鉄を使用
した経路が「裏技に近い」と書かれている。京阪沿線に住んでいない人々にとってはなるほど
その通りだと思うが、京都・大阪間での優位性を検討する文脈の中で出てくるのは唐突だ。大阪に
近ければ新幹線に乗るには新大阪駅に出ればよいのであるし、阪急京都線の沿線なら(かなり離れ
たところでない限り)JR東海道線を利用するであろう。京都駅と京阪線の連絡を気にする必要が
あるのは「京阪沿線からJR京都駅に出る人」か、「遠隔地から京都駅経由で京阪沿線に来る人」
であって、前者の人には丹波橋経由は裏技でも何でもなく、そういえるのは後者の人であるはずだ。
また、塗装変更については、著者の提案する塗装案を何らかの形で図示してほしかった。デザイン
の工業所有権上、実際の電車の絵に塗装案を載せるのが困難なら、カラープレートみたいな形でも
よい。
あと、些末な点であるが、三条駅が正式に「京阪三条」と名乗ったことはない。この程度は京阪の
社史でも確認可能である。