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日本の社会保障 (岩波新書)
 
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日本の社会保障 (岩波新書) [新書]

広井 良典
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 798 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

少子・高齢化の進行や経済の低成長に伴って,社会保障の今後が問われている.医療,年金,福祉など個別分野ごとの課題を明確にしながら,全体像をとらえる必要がある.原理に遡って考えるために歴史的な展開を検証しながら,21世紀の福祉の姿を考えるグローバルな視点を提出し,「公私の役割分担」を中心に,改革の方向性を提示する.

内容(「BOOK」データベースより)

少子・高齢化の進行や経済の低成長に伴って、社会保障の今後が問われている。医療、年金、福祉など個別分野ごとの課題を明確にしつつ、その全体像をとらえる必要がある。原理に溯って考えるために歴史的な展開を検証しながら、二一世紀の福祉国家の姿に迫るグローバルな視点を提出し、「公私の役割分担」を中心に、改革の方向性を提示する。

登録情報

  • 新書: 214ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1999/1/20)
  • ISBN-10: 4004305985
  • ISBN-13: 978-4004305989
  • 発売日: 1999/1/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
本書の冒頭にあるように、社会保障の本来の意味は「社会的な悩みを取り除く」という
ことであり、個人ではなく社会が原因となって起きた問題を社会が手当てすることが求
められるものです。しかし、最近の行き過ぎた自己責任論によって、個人では対応不
可能な問題に対しても個人の努力不足が原因とされ、生活に困窮する人たちが急増して
いるのは、もはや周知の事実です。

本書は、このような状況へと至った日本の社会保障制度に対し、政府が未だに場当たり
的な政策しか打ち出せない状況を批判する視点から、現在の日本の社会保障の状況を明
らかにし、社会保障の原理を説き明かしながら、今後のあるべき社会保障の姿を考えて
いく、日本の社会保障を正面から問い直す本です。書かれたのは1998年頃ですが、
著者の一連の著作の骨格といえるような内容だと思われ、著者の一貫した主張は、その
後の社会環境の変遷により風化することなく、少子高齢化の進展と経済格差の拡大、現
代的貧困の増加する現在において、益々重要性を増していると思われます。

著者は、日本の社会保障は、戦後の経済政策の一部として、日本株式会社の厚生部門と
して産業に携わる人員の育成確保のために導入された経緯から、医療、年金、福祉のバ
ランスが非常に悪い状況を説明し、その是正の必要性を主張します。
また、社会全体において環境親和的な福祉社会を目指すことを提唱し、これまでの右肩
上がりの経済拡大路線から、高齢化に伴う成熟社会を構想していくことが必要だとし、
そこに「定常型社会」というキー概念を示します。これについては、著者の別書『定
常型社会』に論を移す事になりますが、基本概念は本書にある通りです。

様々な議論を踏まえた著者の提言は、具体的かつ説得的であり、是非実際の政策に反映
していって欲しいと思う次第です。そのためにも今必要なのは、著者も主張するように
『医療、年金、福祉にわたる社会保障の全体を視野に収めた上で、各々の分野の公私の
役割分担のあり方を明らかにしながら、社会保障全体の最終的な将来像についての「基
本的な選択肢」を示し、議論を深めていく作業を行う』ことなのだと思います。

本書は、時代に対応できなくなった現在の日本の社会保障制度を根本から考え直すため
に、基本となる社会保障の原理と日本の社会保障の現状を知る上でたいへん有効であり、
今後のあるべき方向性が十分に感じられる重みのある本だと思います。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モチヅキ VINE™ メンバー
形式:新書
 1961年に生まれ、厚生省勤務の経験を持つ、医療経済・社会保障論、科学哲学の研究者が、経済との動態的な関係、グローバルな視点に重点を置いて、社会保障に関する原理的な考察を行おうとして、1999年に刊行した本。社会保障は基本的に、産業化に伴う自然発生的な共同体の解体(機能の外部化)傾向に対して、それに代わる意識的な共同体(個人をベースとするネットワーキング)を社会的に再構築・支援しようとする制度である。その際、日本の特殊性としては、当初ドイツ型社会保険システム(保険料を主財源とする職域中心の所得比例的給付)として出発し、第二次大戦中から次第にイギリス的な普遍主義的方向(租税を財源とする全住民対象の均一給付)に移行し、その結果制度の基本的な趣旨の不明瞭な、折衷的な制度となっていること(保険と税の渾然一体性)、その過程で、非サラリーマン集団が相対的に多い途上国型経済構造の中、国保を通じてその取り込みが積極的に行われ、また経済の二重構造化に対応して、国家自身が保険者になったこと、更に急速な産業化の結果、医療保険の整備後、年金が遅れてしかし急速に膨らむという経過をたどったことが挙げられ、これらは特に発展途上国にとって示唆するところが多いという。著者は(本来「環境親和的」な)成熟経済に対応し、制度の趣旨を明確化するために、公私の役割分担を再検討し、所得再分配に関しては公的扶助を、リスク分散の内、若年医療のような逆選択が生じやすいものについては社会保険を、それ以外については民間保険を活用することを主張し、市場とその補完・修正を基調とし、個人間ネットワーキングを支援する医療・福祉重点型社会保障を提言する。本書は世界的な分業体制の分析が弱く、予定調和的な未来像を描いている感が強いが、原理的な社会保障論として、重要な指摘を多く含む。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By マツ
形式:新書
出版は古いが、原理的説明に徹しているので、社会保障の概念を理解するのに現在でも大いに役立つ。なにより、とても整理された文章で読みやすく、わかりやすい。

まず社会保障の役割を「リスク分散」と「所得の再分配」に大まかに定義する。また、社会保障を「財政」と「供給」(病院や介護施設など)に分類し、両者を提供する主体にそれぞれ公と私があると説明する。更にそれらの類型を詳細に説明して、それぞれの選択を社会状況に合わせて行う必要があると説く。

社会保障と環境被害対策の類似性を指摘して、社会とのかかわりの理解を助ける。また市場や共同体と社会保障との関係もわかりやすく説明されている。

これを読めば「病床数が削減されて老人が病院から締め出されている。可哀想だ。」というマスコミ論評の底の浅さを理解できる。
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