福祉の国スウェーデン。今や日本人でも多くが知っているこの国の社会保障サービスの現状を、本書は理学療法士の視点から実際に体験し、ルポタージュしています。
数あるスウェーデンやデンマークの「福祉本」の中でも、本書が特徴的なのは理学療法士の視点からその福祉の内容が検討されている点です。それは第一にスウェーデンでは日本でよくある拘縮がほとんどないこと。これは病気や障害などによる1次災害はあっても、適切な理学療法によって拘縮などの2次災害を防いでいることを、逆に日本では防ぎきれていないことをはっきりと証明するものです。また第2に、自立し質の高い生活を送るには、人的なサポートとともに適切な補助具が必要となります。スウェーデンはこの補助具によるサポートが極めて良好で、その個々の道具についての理学療法士ならではの考察も見どころです。もちろん、その補助具開発の裏には人間の動作について知り尽くした理学療法士と作業療法士がいます。
本書はスウェーデンの5都市で様々に取り組まれている社会保障サービスについて、現地のスタッフについていって、あるいは筆者が理学療法士として施術を行って、その様子を書き記したものです。写真が多く、また筆者の卓越な文章力から、あたかもその場にいるかのような気持ちで、具体的にイメージしながら読むことができます。スウェーデンのハイレベルな福祉の現場を知るには、とてもいい本だと思います。