岩波ジュニア新書版「日本の歴史」シリーズの9巻目で題が「日本の現代」とあっては、外観はいかにも無個性でつまらない本に思える。私個人も本書を手に取った時は、いかに民衆思想史の第一人者が担当しているとは言っても構成はしっかりしている反面面白くは無い本だろうと予想していた。そもそも戦後の独立回復から2000年までの半世紀を230ページの新書で記述する事自体が詰め込みになりかねないようにも思えた。
しかしながら本書はそのような制約と形式の下にあって、著者が「日米関係」と「経済大国」という二つの枠組みを軸として現代史を記述した充分に個性的な通史になっている。特に社会や人々の暮らしの変化については具体例を挙げながら力を入れて記述していて読み応えが在る。
出版から8年近く経ってしまったのに加え分量の問題で多少記述が薄くなってしまった感は否めないが過去を捉える視野は広く、安易に結論を押し付けるような本ではなくて抑制された叙述であるので、現代史を考える叩き台の一つとしては有意義な本。著者の歴史についての考えを振り返ったエピローグは重い問いかけだと思う。