渚とは海と陸が接する場所のことである。そういう特殊な環境のため、ほかでは見られない豊かな生態系が形成されることになる。しかし、それゆえに簡単に壊されてしまうことにもなる。人間の自然破壊がもっとも目に見える形であらわれる場ともなっているのである。
本書には6種類の渚が取り上げられている。河口、干潟、藻場、砂浜、サンゴ礁、ヒルギ林(マングローブ林)の6つである。そして、それぞれに見られる生物と生態のバランスが語られる。多様な生物が互いに支え合うことで、渚の環境が成立していることが示されるのである。
日本の現実の渚はものすごいスピードで失われつつある。農薬による汚染、リゾート開発による破壊など。本書では渚のもろさが強調されている。どうにかしなくてはいけないと感じさせられる一冊だった。